宮城知事選、医師の長氏が正式出馬表明 「対話基調の県政に」

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知事選への立候補を正式表明した長氏

 11月に投開票が予定される宮城県知事選で、元石巻市包括ケアセンター所長で医師の長純一氏(55)が28日、県庁で記者会見し、「声なき声を拾い、対話を基調とした県政運営を目指したい」と述べ、立候補を正式に表明した。市民団体「市民連合みやぎ」の要請を受諾し、政党の推薦を求めず無所属で出馬する。5選を狙う現職村井嘉浩氏(61)との選挙戦が確定した。
 長氏は「医療を主体的に担わず、市場の原理に委ねようとする現県政によって医療崩壊が進んでいる」と危惧。新型コロナウイルスや少子高齢化への対応を念頭に「福祉を最重要課題とした施策を訴えたい」と抱負を述べた。
 村井県政については、仙台医療圏4病院の再編方針や東京五輪サッカー競技の有観客開催を批判。「医療者の意見を無視し、強権的に物事を進めている。命と暮らしを守る立場から看過できない」と、対決姿勢を鮮明にした。
 選挙公約は今後発表する。長氏は「地域医療は県政全体の課題」と話し、県議会の与野党を問わず支持を呼び掛ける考えを示した。市民連合は立憲民主党系の「みやぎ県民の声」など野党4会派を中心に支援を要請し、共闘を模索する。
 長氏は東京都出身、信州大卒。長野県の佐久総合病院に19年間勤務した後、東日本大震災直後に同県医療団長として石巻市に入った。12年5月に市立病院開成仮診療所の所長に就任し、市内最大の仮設住宅団地で被災者の医療ケアや生活再建に関わった。今年4月の石巻市長選に無所属で出馬し、落選した。
 県議会最大会派「自民党・県民会議」など県政与党4会派は今月21日、村井氏を支援する県議の会を設立。37人が参加する。

■県の4病院再編方針批判

 元石巻市包括ケアセンター所長で医師の長純一氏(55)は28日、県庁で記者会見し、11月に投開票が予定される知事選への立候補を正式表明した。一問一答は次の通り。

 -訴えの中心に何を据える。
 「県は医療を主体的に担っていない。地域医療を保てなければ人は住めなくなる。命を守る立場から現県政にノーを突き付ける」

 -5選出馬を表明した村井嘉浩知事(61)が主導する仙台医療圏4病院の再編方針の評価は。
 「唐突に県立精神医療センター(名取市)を含めたことは許せない。精神医療の患者は住居などの面で課題が多く、移転すれば多くの患者は通えなくなる。声を上げられない弱い存在に寄り添いたいと考えてきた1人として、立候補を決意する大きな要因になった」

 -村井氏の東日本大震災の復興施策をどう考える。
 「強いリーダーシップで加速した面もあったが、ハード中心だった。(石巻市)雄勝の診療所に通った際、人が住まない場所に防潮堤ができ、介護サービスがないために高齢者が住めなくなるのを見て、どういう復興なのだろうと感じた」

 -新型コロナウイルス対策の方向性は。
 「第6波、第7波は必ず来る。残念だが経済的困難から自死する人も増える。福祉制度を活用しながら支援できることはたくさんある。現場の視点に基づいた総合的な施策が必要で、市町村に福祉の専門職員を増やさないといけない」

 -急速に進む少子高齢化とどう向き合う。
 「地方創生は雇用と子育て、介護をセットで考えることから始まる。子育て環境が厳しく、子どもを産めない状況を改善しないと、県の力は戻らない。女性の視点は重要になる」

 -東北電力女川原発2号機(女川町、石巻市)の再稼働に反対姿勢を示す。
 「私が診療していた虚弱な方々は災害時、逃げることはできない。安全な避難計画がない以上、再稼働すべきではない」