コロナ禍で浮かぶ中高、沈む中高 首都圏の中学受験の志願者は7年連続増(安田賢治)

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首都圏の中学受験は7年連続増加

中学受験の人気が続いている。首都圏模試センターによると、今年も志願者は増え、これで7年連続の増加となった。首都圏の私立中・国立中の志願者数は昨年より650人増えて5万50人、5万人を超えるのは2007年以来、14年ぶりだ。首都圏の小学校6年生の私立中受験率も、昨年の16.62%から16.86%に上がっている。

この人気の理由はコロナ禍が大きい。昨年は3か月近くの休校期間があった。対面授業ができず、各校は急遽、オンライン授業を取り入れた。しかし、私立中といってもIT教育は各校ばらばらだ。

生徒全員にタブレットなどの通信機器を持たせている学校は少ない。学校も手探りで、各家庭に対してパソコンの有無や通信環境などを調査した上で、オンライン授業に踏み切った。授業を時間割通りオンラインで行う学校もあった。

さらに、在学している公立小などの対応に不安な家庭も多かったこともある。プリントが大量に配られ、家で自習という学校もあり、保護者は公立中に進学しても同じ状況になるのではと不安に思い、中学受験を目指すようになった面もあった。

大学通信は毎年、首都圏の学習塾の塾長・教室長にアンケートを実施し、今年は289学習塾から回答を得た。
その中で「オンライン授業で生徒・保護者から高評価を得た」学校について、5校連記で記入してもらった。

そのトップは、青稜(東京)だった。もともとICT教育にそれほど力を入れていなかったというが、コロナ禍が始まってから教職員が一丸となって態勢を整え、4月中旬には高3生から順次オンライン授業をスタートさせたという。

さらに、感染が拡大した年明けの2月1日からの入試が行えるのかどうか不安を抱える受験生や保護者に対し、オンライン入試を実施すると発表したことでも注目された。最終的には実施できなかったが、コロナ禍への迅速な対策を取ったことで学習塾からの評価も高くなった。

2位は早くからICT教育に取り組んできた広尾学園(東京)だ。もともとICT教育に早くから取り組み、生徒全員にタブレットを配布し、授業などで活用してきた。休校中は徹底してオンライン授業を実施した。

3位は開智未来(埼玉)、4位は常総学院(茨城)、5位は駒込(東京)だった。

また、昨年は休校明けから分散登校になった。生徒全員が通学するのではなく、半分ずつや学年ごとなど、さまざまな分け方で通学人数を絞り、密を避ける方策がとられた。午前、午後に分けて生徒を登校させた学校もある。
ところが、そういった学校では、授業は3時間だが、通学時間が片道1時間半の生徒だと、時間を有効に使えない上、通学途中のコロナの感染リスクも高まる。そのため、分散登校が始まった後もオンライン授業を望む生徒や保護者がいて、対面とオンラインのハイブリッド授業を実施せざるを得なかったようだ。

この先、コロナ禍が続く限り、より通学時間の短い学校、密になりがちなスクールバスを使わず、駅から徒歩や自転車で通学できる学校などが人気を集めそうだ。

(安田賢治/大学通信常務取締役、情報調査・編集部ゼネラルマネージャー)