鹿児島大学、口腔細菌が大腸がん発生に関与する可能性発見

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科の杉浦剛教授らの研究チームは鹿児島大学病院消化器外科、大阪大学微生物病研究所と共同で大腸がん患者と健康な人の唾液と便のサンプルを採取し、大腸がん患者の唾液と便に共通して存在する4種の口腔常在菌を世界で初めて見つけた。口腔細菌が大腸がん発生に関与している可能性があるとみている。

鹿児島大学によると、研究チームは大腸がん患者、健康な人それぞれ約50人ずつの唾液と便のサンプルを遺伝子レベルで解析し、大腸がん患者の唾液と便のサンプルからこれまで発見されていなかった4種の口腔常在菌を見つけた。大腸がん患者と健康な人では、口腔内と大腸内の細菌構成が異なっていた。

研究チームは口腔から大腸へ細菌が供給され、大腸がんを引き起こしている可能性を示唆した結果とみている。4種の細菌が口腔から大腸へ直接運ばれたのか、間接的に移動したのかは分からないとしている。

研究チームは唾液に含まれる細菌の解析で大腸がんの発生やリスクを診断する方法を進めている。さらに、歯科治療や口腔ケア、食事による口腔細菌の管理などの手法で腸内細菌をコントロールし、大腸がんを予防する方法を研究する。

口腔中には約700種、100億個の細菌が常在しているとされる。虫歯や歯周病を引き起こす悪玉菌がいる一方で、害のない善玉菌も存在する。口腔常在菌が体の別の部分にたどり着くと、別の病気を引き起こすことが徐々にわかってきた。

論文情報:

【Cancers】Colorectal Cancer Patients Have Four Specific Bacterial Species in Oral and Gut Microbiota in Common—A Metagenomic Comparison with Healthy Subjects

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