長島哲太が『TN45 with MotoUP Racing Team』を発足させ全日本ロードST600に参戦!

 昨年までロードレース世界選手権Moto2クラスで活躍し、今シーズンはHRCの開発ライダーを務めている長島哲太が、9月28日(火)に埼玉県・さいたま市岩槻区にあるMotoUP岩槻本店で『TN45 with MotoUP Racing Team』を発足させ、全日本ロードレース選手権ST600クラスに参戦することを発表。若手育成を目的に2台体制でエントリーすると言う。

「まずは、株式会社ピーアップ中込社長を始め、このプロジェクトにご賛同くださった皆さんに感謝いたします」と長島。

「今年は、日本にいたので、全日本ロードにも足を運びレース界を考えたときに若手ライダーの力になりたいと思いました。日本から世界への登竜門となっているアジアタレントカップ(ATC)で成績を残すことができずに、やめてしまうライダーもいます。そんなライダーを起用し、再び世界を狙えるライダーに育てられれば、とチームを結成しました。J-GP3クラスだと年齢的に世界を目指すには遅くなってしまう可能性もあるので、ST600クラスでWSS600やCEV Moto2を目指します」

2022年から全日本ロードST600に参戦する『TN45 with MotoUP Racing Team』

 携帯電話の販売で知られるテルルを展開する株式会社ピーアップは、バイク事業部もあり、MotoUP岩槻本店を始め、Honda Dream店も2店舗展開している。チーム監督を務めるのは、MotoUP岩槻本店の渡部晋店長だ。渡部氏は、長島の全日本ロード時代のメカニックでもあり、全幅の信頼を寄せている。

MotoUP岩槻本店の渡部晋店長

「若手ライダーを育てることも大事ですが、レースを盛り上げるためには、裏方であるメカニックを育てることもしなくてはいけない。全日本ロードは人材不足でもありますから。若手メカニックの育成の場にもしますし、お客さんにレースを見に来てもらってファンを増やすことも計画しています」と渡部氏。

 長年、長島を始め、世界を目指すライダーを応援してきた中込氏。2019年までチームを率いて全日本ロードJSB1000クラス、鈴鹿8耐にも参戦してきた。

株式会社ピーアップ中込社長

「MotoGPクラスに日本人ライダーを送り出したいという思いでサポートを続けてきました。いま国内で応援するライダーがいないので、筑波コース1000でのミニバイクシリーズ運営などから、輝くライダーを作り上げることも考えていました」と中込氏。

「CEV Moto3では、そこで止まってしまう傾向が多くなっていますし、世界でもMoto3からMoto2、Moto2からMotoGPとステップアップしていくスピードが速くなっています。そこで中量級に目を着けて、長島が自分自身の経験を活かせるライダー育成をしたいと言うので賛同した次第です」

長島哲太(TN45 with MotoUP Racing Team)

 チームは、3年計画を予定しており、その間に結果を出せなければキッパリやめると言う。

「自分自身の経験をもとに、時間の使い方、トレーニングの仕方などを伝えて、世界に再挑戦できるライダーに育てるというのが、このチームのメインコンセプトになります。かなり口うるさく言うと思いますが、3年で結果が出なければ、僕にライダーを育てる才能がないということなります。全コースでコースレコード、全戦全勝というのは、難しいことですけれど、海外に出て行くためにはやらなければいけない。3年以内にチャンピオン獲得を目指します」

2022年から全日本ロードST600に参戦する『TN45 with MotoUP Racing Team』

 そんな長島にMoto2クラスの代役参戦の話が舞い込んだ。アメリカズGPにイタルトランスからサンマリノGPで左肩を負傷したロレンツォ・ダラ・ポルタの代わりに走ることになったのだ。

 昨年、2年契約を破棄され2021年のシートを失った長島は、HRCの開発ライダーとしての仕事をこなした。その中では、MotoGPマシンを始め、SBKマシン、そして鈴鹿8耐仕様のマシンなどをライディング。ミシュラン、ピレリ、ブリヂストンとタイヤメーカーも異なっていた。そして今回のMoto2はダンロップとなる。

「昨年の最終戦以来のMoto2マシンなので、久しぶりですし、どれだけ乗ることができるか分かりませんが、これまでで一番プレッシャーもなく楽しんで乗ることができそうです。ただ、オースティンは、苦手な方なんですよね」と長島は、笑顔で語った。

 ミザノで行われる第16戦エミリア・ロマーニャGPは、長島のスケジュールの都合で参戦はできないが、アメリカズGPの結果次第で、ポルトガルとバレンシアも参戦することになりそうだ。

 発表会を終えた長島は、その足で羽田に向かい渡米の途についた。

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