総裁選について国会議員はどんな発信をしていた?Twitterテキストマイニング

自由民主党総裁選2021が2021年9月17日に告示され、9月29日の投開票日を迎えました。決選投票の結果、岸田文雄氏が新総裁として選出されましたが、この約1ヶ月間、国会議員は「総裁選」についてどのようなツイートをしていたのでしょうか。選挙ドットコムが把握している与野党の国会議員のアカウントにおけるツイートのうち「総裁選」という単語を含むツイートを分析しました。

8月26日~9月1日 岸田文雄氏の立候補表明

総裁選に向けての動きが活発化する中で、国会議員はどのようなことをツイートしていたのでしょうか。選挙ドットコムでは、衆参両院の国会議員が8月26日から9月1日の1週間の間にTwitterでツイートした中から、「総裁選」という単語を含むツイートの言葉について注目し、テキストマイニングツールを使って調べてみました。

与党(自民公明)

まず、与党の自民党と公明党の衆参国会議員のツイートを見てみましょう。

「告示」「投開票」「立候補」「党員」などの単語群も見受けられ、総裁選の具体的な日程について、与党の各国会議員の間で告知をするようなツイートが多く見受けられていました。

 また、「岸田」「文雄」「出馬」「会見」といった単語群が特徴的です。こちらは、岸田文雄前自民党政調会長が8月26日に記者会見を開き、正式に自民党総裁選への出馬を表明したことを受けてのツイートになるでしょう。

 さらには、「先送り」「総理」「行う」といった、菅総理が9月中旬に解散をし、総裁選を先送りするのではないかという報道が、その後否定されたものの、一時各メディアで報道されたことに影響した単語群もあります。

RTの多かったツイート

次に、自民党・公明党以外の野党の衆参国会議員のツイートについて見てみましょう。

目立つ単語群としては「臨時」「国会」「召集」が上げられます。これは、野党が一貫して、与党に対して早急に臨時国会を開会し、新型コロナウイルス感染症対策などについての協議を求めているのに対し、与党が拒否をしていることについて、否定的なツイートが多かったようです。

 他にも、「コロナ」「対策」「補正」「予算」といった単語群があり、臨時国会を開会して感染症対策として補正予算について審議を求める野党の意向がツイートに反映された結果となっています。

RTの多かったツイート

まず、与党の自民党と公明党の衆参国会議員のツイートを見てみましょう。

主だった単語群としては、「菅」「総裁」「出馬」「退陣」が上げられます。9月3日に菅総理大臣が新型コロナ感染症対策に専念するため、総裁選への立候補を取りやめて任期満了で総理大臣を辞任することを発表したことについて言及したツイートがとても多かったことが読み取れます。

そして、「若手」「派閥」「オンライン」「投票」という単語群から、当選3回以下の若手自由民主党国会議員が会合を開き、総裁選において派閥ごとに投票するのではなく、自主投票を強く求める提案書を取りまとめたことに関連するツイートもあったようです。

RTの多かったツイート

次に、自民党・公明党以外の野党の衆参国会議員のツイートについて見てみましょう。

「無責任」「辞任」「投げ出す」という単語群からわかるように、野党の国会議員についても菅総理大臣の事実上の辞任会見に関するものが多く、否定的な意見を表明したツイートが多かったことがわかりました。

さらには、「高市」「岸田」などすでに総裁選に出馬する意向を正式に発表した総裁選の候補者についてや、「政治」「空白」「変える」などといった総裁選を実施することによる政治的空白を批判する内容も見受けられました。

RTの多かったツイート

まず、与党の自民党と公明党の衆参国会議員のツイートを見てみましょう。

特徴的な単語群の一つとして「党」「会「一新」といった単語が挙げられます。これらは、自民党の派閥横断の若手国会議員(当選3回以下の90人)が「党風一新の会」という議員連盟を立ち上げ、9月10日に議連の設立総会を開催したことに影響するものと考えられます。この「党風一新の会」は、党総裁選候補者と若手の意見交換の場を求めている他、派閥に縛られない自主投票による総裁選の実施を求めています。

さらには「岸田」「文雄」、「高市」「早苗」、「河野」「太郎」の総裁選立候補を表明している3名の名前も多くツイートされ、それに付随する形で「外交」や「経済」「対策」といった単語群に見られるように、各立候補者の主張する政策に関連したツイートが多くなされました。

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次に、自民党・公明党以外の野党の衆参国会議員のツイートについて見てみましょう。

テキストマイニングツールを用いた結果、「コロナ」「緊急」「提言」「給付」「支援」といった単語群が主だって現れています。これらの単語群は、日本維新の会が9月15日、政府に対して、医療従事者を確保するために命令規定を新設することや、ロックダウン法制の検討など党独自の対策を提言したことに影響したツイートだと見られます。

他にも、「国会」「開く」の単語群が示すように、野党が一貫して政府に求めている臨時国会の招集に関連するツイートや、「河野」「原発」「現実」の単語群のような総裁選立候補予定の河野太郎氏の原子力に対する主張に関連するツイートがありました。

RTの多かったツイート

まず、与党の自民党と公明党の衆参国会議員のツイートを見てみましょう。

17日に総裁選の告示日を迎えたということもあり、「岸田」「野田「高市」「河野」の4広報の名前が多くツイートの中に使われた模様です。各衆参国会議員のツイートからは、可能な限り支援する立候補者の顔と名前が知られるようにリツイート機能などを用いて、名前を積極的に宣伝するツイートが多く見られました。

また、特徴的な単語群としては「公開」「討論」「主催」といった単語群が見られます。これらは、総裁選挙期間中に自由民主党が企画して行われる各立候補者同士の公開討論会に関連するツイートとなっています。各候補者がこの公開討論会を通じて、それぞれ主張した政策について触れているツイートも散見されました。

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次に、自民党・公明党以外の野党の衆参国会議員のツイートについて見てみましょう。

特徴的な単語群としては「自民党」「総裁」「報道」「一色」といった単語群が上げられます。これらは、総裁選告示日を迎えた後、各候補者が積極的にインタビューやテレビ出演を連日行い、またマスメディアも総裁選について大きく取り上げたことによって、偏向報道になっているという野党からの訴えを反映した単語群と言えます。

更には、「臨時」「国会」「コロナ」「対策」といった一貫して野党が求めてきた臨時国会の招集に関するツイートは総裁選告示日を迎えても野党の国会議員からツイートが多くあったようです。また、「野党」「同性」「必要」といった単語群については、立憲民主党が衆議院選挙の公約として選択的夫婦別姓制度や同性婚について争点に取り上げていることが影響したものでしょう。

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総裁選終盤の一週間で与野党の衆参国会議員はどのようなことをツイートしていたのでしょうか。まず、与党の自民党と公明党の衆参国会議員のツイートを見てみましょう。

特徴的な単語群としては「国民」「討論」といった単語群や「意見」「交換」「地方」といった単語群が挙げられます。これらの単語群は、9月23日から26日まで4日間にわたって行われた、国民からオンラインで総裁候補に直接質問をする「LDPオープンタウンミーティング『国民の声に応える政策討論会』」に関連したツイートであると考えられます。

また、新型コロナウイルス感染症の影響で各候補者が地方の党員党友との交流をオンラインで行ったことも影響しているでしょう。

また、「決戦」「投票」・「岸田」「文雄」といったように29日に行われた総裁選1回目の投開票において、単独で過半数の票を獲得した候補者がおらず、1回目1位の岸田氏と2位の河野氏での決選投票によって最終的に岸田氏に決定をした経緯に関係した単語群がツイートされました。

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次に、自民党・公明党以外の野党の衆参国会議員のツイートについて見てみましょう。

「連日」「テレビ」「党首」という単語や「羽鳥」「言う」といった単語がみられるのは、9月24日にテレビ朝日系の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」に立憲民主党の江田憲司代表代行、共産党の志位和夫委員長、日本維新の会の片山虎之助共同代表、国民民主党の玉木雄一郎代表の野党4党の幹部が出演したことに関係しています。特に連日の総裁選の一方的なメディア報道に対して、野党の報道機会があることを歓迎するようなツイートが多く見受けられました。

また、「菅」「総理」「質問」といった菅義偉総理大臣に関する単語群もあり、総理大臣として最後の記者会見を終えた菅総理に対する内容のツイートもされました。

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