中日・山井大介が現役引退 日本シリーズ“完全試合”の伝説、竜一筋20年に幕

中日・山井大介【写真:小西亮】

球団、関係者には報告を済ませ、近日中に正式発表される

中日の山井大介投手が今季限りで現役を引退することが29日、分かった。すでに球団や関係者には現役引退の報告を済ませ、近日中にも発表される見込み。2007年の日本シリーズ第5戦の“継投による完全試合”で中日に53年ぶりの日本一をもたらした43歳がドラゴンズ一筋20年間のプロ野球生活に幕を下ろす。

現役最年長投手がユニホームを脱ぐことを決断した。プロ20年目の今季はここまで1軍登板なし。ファームでは19試合に登板して7勝5敗、防御率3.94の成績を残したものの、若手の台頭や世代交代の波もあり、今季で現役から退くことを決めた。

“記憶”に残る投手だった。神戸弘陵高、奈良産大、河合楽器を経て、2001年のドラフト6巡目で中日に入団。ルーキーイヤーから1軍で31試合に登板すると、6勝をマークした。2年目以降は度重なる怪我に苦しめられたものの、2007年にはシーズン後半に白星を積み重ねて、リーグ優勝に貢献した。

この年の日本ハムとの日本シリーズでは第5戦に先発。ダルビッシュ有投手(現パドレス)との投げ合いで好投し、8回まで1人の走者も許さない完全投球を続けたが、指のマメを潰していたこともあって8回で降板。9回は守護神の岩瀬にマウンドを譲り、継投による完全試合を達成して53年ぶりの日本一に導いた。歴史的な快挙目前での降板に、当時の落合博満監督の采配には賛否が巻き起こり、物議を醸した。

昨オフも去就熟考もコロナ禍で不完全燃焼、現役続行を決断

その後も先発、中継ぎと役割問わずにチームに貢献。2012年にはセットアッパー、クローザーとしてキャリア最多の56試合に登板し、4勝3敗15セーブ13ホールドをマーク。WBCの日本代表候補にも名を連ねた。2013年には6月28日のDeNA戦で史上77人目となるノーヒットノーランを達成し、2014年には先発として27試合に登板して13勝5敗、勝率.722で最多勝と最高勝率のタイトルを獲得した。

2014年オフには取得していた国内FA権を行使せず、3年契約を結んで中日に残留。2015年には開幕投手も任された。2017年には802日ぶりの先発勝利を挙げた8月31日のDeNA戦でプロ初本塁打も。2018年5月22日のDeNA戦では史上9人目の40代での完封勝利も達成した。

昨季は6試合に登板して勝利なし。引退も頭によぎったものの、新型コロナ禍における変則シーズンで不完全燃焼に終わったことから現役続行を決断。今季はファームで19試合に登板してチームトップの7勝をマークしたが、1軍での登板機会はなし。チームが若手起用へと舵を切っていることもあり、身を退くことを決めた。

大仕事を果たすことで絶大なインパクトを残してきた山井。乱視矯正のために着用していたゴーグル姿から「ウルトラマン」とも称されてファンにも愛された。山田久志、落合博満、高木守道、谷繁元信、森繁和、与田剛と6人の監督のもとでプレーした20年間。黄金期も、その後の低迷期も知る大ベテランが現役生活に幕を下ろす。(Full-Count編集部)

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