ライバル球団はいまだ警戒も… 原巨人に「もはや打つ手ナシ」の声

万策尽きてしまったのか…

万策尽きてしまったのか…。3位巨人は29日の中日戦(バンテリン)に0―5で敗れ、4連敗を喫した。上位チームを追撃するどころか、9月は6勝13敗5分けの大失速で逆転V3への機運もしぼんできた。窮地に立たされるほど見ものとなってくるのが、百戦錬磨の原辰徳監督(63)の手腕だが、周囲からは「もはや打つ手ナシ」との厳しい声も浮上している。残り試合が少なくなる中、起死回生の「ムチ入れ」はさく裂するのか。

勝負の9月に大誤算だ。打線の低迷と投手陣の不調が重なり、連勝は「2」が最長。この日は、守備からほころびが生じた。4回に小林の捕逸で先制点を献上し、先発した高橋は5回3失点(自責1)で降板。攻撃陣も丸を今季初の2番に据えたものの特効薬とはならず、毎回のように走者を出しながらも今月3度目の零封負けとなった。

またしてもチーム全体の歯車がかみ合わず、ここ4試合の合計得点はわずか5点という惨状。試合後の原監督は「バッターはやっぱり0点じゃいかんし、バッテリーは何とか我慢して先取点を与えないというようにね。先制点を与えないということに集中するということでしょうな」「全員がなんとなく本来の力を出し切ってないっていうことでしょうね」と、基本的な戦い方を強調するしかなかった。

首位ヤクルトも敗れたため5ゲーム差は変わらなかったが、残りは19試合となった。旗色は悪くなるばかりでも、9度のリーグ優勝に3度の日本一に導いた指揮官の手腕ならば、何か一つのきっかけで大逆転となってもおかしくはないが…。

ただ、ライバル球団からは「さすがに20試合を切って、原監督が『ムチ入れ』する材料ももう見当たらない。そもそも入れる『ムチ』自体がないんじゃないか」との声が上がっている。

「ムチ入れ」とは、シーズンの勝負どころで原監督がチーム全体を一気に動かす大胆采配のこと。第2次政権下では先発投手陣を中5日や中4日で回したり「枢軸」と呼ばれた打線の中軸を解体するなどして、カンフル剤としてきた。

ただ、指揮官は24日からの阪神との上位対決を前にしても「ムチを入れるタイミングではないか?」との問いに首を横に振っていた。すでに先発ローテは5人で中5も中4も解禁。打線も4番の岡本和以外は流動的なまま固定できておらず、試行錯誤を続けている状態だ。実績のある丸や中田らも本調子になく、主力が軒並み低調では、ムチを入れたくても手の打ちようがないのかもしれない。

それでも、前出のライバル球団関係者が「原監督だけに油断はできない」としたように想像を絶する〝ウルトラC〟が飛び出す可能性もあるが…。果たして、大どんでん返しは起きるのか。

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