試合前や試合後は何を摂るべき? 専門家が勧める効果的な“補食メニュー”

公認スポーツ栄養士の酒井美緒さん【写真提供:(株)スポーツフィールド】

試合前はおにぎり、パン、バナナなど糖質が豊富な食材を

パフォーマンスアップや怪我の予防につながる食事。1日3回の食事に加えて、体づくりやエネルギー補給で大切になるのが練習や試合の前後に食べる「補食」だ。多くのプロスポーツ選手をサポートしている公認スポーツ栄養士・酒井美緒さんによる連載「成長メシのすすめ」第3回のテーマは「補食」。酒井さんのお勧めは。

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これまでの連載でバランスの良い食事や、体を大きくするための食事についてお話してきました。1日3回の食事の他に、体づくりで習慣づけていただきたいのが、練習前と練習後の「補食」です。

練習前や試合前は、体を激しく動かしてエネルギーがなくなることが予想されるので糖質が豊富に含まれているものを摂取してください。練習後や試合後はエネルギーがなくなっていることに加えて、筋肉もダメージを受けていると考えられるので、糖質とタンパク質を一緒に取ることが重要になります。

アスリートと話をしていると、食事や補食に対して意識の高い選手と、そうではない選手がいますが、運動前後の栄養補給は実際、体にすごく影響していきます。特に運動後は糖質とタンパク質、どちらか一方だけでは体力や筋力の戻りが遅くなります。エネルギー回復、筋力回復のためにも糖質とタンパク質は一緒に取るよう心掛けてください。

練習前や試合前にお勧めするのはおにぎり、パン、100%のオレンジジュースやバナナ等の消化吸収の良い糖質が豊富な食材です。菓子パンなどは糖質に加えて脂質も豊富な食材が多いので、あまり適していません。消化吸収の観点から胃腸に負担をかけないように、糖質が多く、脂質が少ないものを選ぶと良いです。

試合後は糖質とタンパク質を一緒に、和菓子はあんこがタンパク質源に

練習後や試合後は、20~30分以内を目安に糖質とタンパク質を一緒に摂取するようにしましょう。おにぎりの中でも具材を鮭や納豆を選ぶと、糖質とタンパク質を一緒に摂取できます。サンドイッチであれば、ハムや卵が入っているものを選ぶと糖質とタンパク質を補えます。

私がサポートした経験の中では、おにぎりやパンに加えて、かにかまや魚肉ソーセージを持ってくるのがブームになった事もありました。加工食品ですが、手軽に持っていけるので補食には適していると考えています。ただ加工食品にはリンが多く、カルシウムの吸収が阻害されやすいので、その分食事でカルシウムを意識して摂取していきましょう。

他にもコンビニやスーパーで手軽に買えるヨーグルト、飲むヨーグルトは、タンパク質・カルシウムが豊富です。果物入りは糖質も一緒に摂取できるのでオススメです。

アンパン、どら焼き、ヨウカンなどの和菓子は補食に適しています。あんこがタンパク質源となり、糖質と一緒に摂取できます。栄養素を考えながら、3食の食事に加えて補食も忘れずに摂取してください。

○プロフィール
酒井美緒(さかい・みお)管理栄養士/公認スポーツ栄養士。兵庫県尼崎市出身。2012年国家試験合格。女子野球チームの球団管理栄養士を担当。2016年株式会社スポーツフィールドに入社。2018年日本スポーツ協会と日本栄養士会共同認定である公認スポーツ栄養士を取得。アスリートのキャリア支援を行いながら、個人、チーム、保護者問わずアスリートの栄養サポートを業務に従事。大学の授業や行政機関のイベントにも数多くの登壇実績を持つ。Twitter:https://twitter.com/923_mio(記事提供:First-Pitch編集部)

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