「風通しの良い組織目指す」 長崎県警本部長・中村亮氏(52)に聞く

中村亮県警本部長(52)

 〈8月30日付で着任した外務省出身の異色の長崎県警本部長。経歴や目指す組織像、県警が重点的に取り組むハラスメント防止と働き方改革への考えなどを聞いた〉

 -外務省での職務は。
 海外勤務4回のうち3回がドイツ大使館勤務。幼少期に5年半暮らした国で縁がある。本省では、国連平和維持活動(PKO)を担当する部署など国連関係の仕事に携わり、2002年の「環境・開発サミット」準備のため南アフリカにも2回赴いた。

 -初の警察行政だが。
 外務省でも大使館や領事館に窓口があり、海外に暮らす日本人を助け、守る仕事をしている。警察とは国民の生命、身体、財産を守るという観点で共通している。着任して4週間がたった今もまさに実感している。

 -本県の治安情勢をどう見るか。
 他県と比べると「犯罪率」は低いが、被害者にとって「率」は関係なく、被害に遭うか遭わないか。犯罪の根絶に向け徹底的に取り締まりをしなければならない。特殊詐欺が増えていることも憂慮すべき。関係機関と協力し、被害をなくす努力をしたい。

 -昨年10月に佐世保署員が自殺した問題を受け、県警が取り組むハラスメント防止と働き方改革について。
 前任の本部長から最重要項目の一つと引き継ぎを受けている。幹部をはじめ職員の意識改革と、気兼ねなく報告や相談ができる風通しの良い職場環境が何より大事。県内全22署を回り、現場の声を聞き、業務の合理化など一緒に知恵を絞りたい。

 -業務の合理化を進めながら、ストーカーなど人身安全事案をはじめ社会の要請にどう応えるか。
 県民の安全安心を確保するという一番大きな業務をいささかなりともおろそかにしてはいけない。人身安全事案は合理化してはいけない典型的な分野の一つ。しっかりと仕事をするのと(合理化との)両輪で進めていく。(被害相談など)職員は敏感に、きめ細かく対応してもらいたい。

 -どのような組織を目指すか。
 社会の変化や、必要なことにただちに対応できる即応性、機動性があって、風通しの良い組織。そのためにも現場で何が起きているのか、しっかりと把握するのが大事。一人でも多くの県民、警察職員から話を聞きたい。

 【略歴】なかむら・りょう 埼玉県出身。東大法学部卒。1992年に外務省入省。同省欧州局中・東欧課長、在ドイツ日本大使館公使などを歴任した。仕事とプライベート合わせ訪れた国は100カ国以上。長崎市内の街歩きを楽しむ。


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