侍ジャパン・稲葉監督が〝号泣〟退任会見 後任決定は年内メド

選手からのメッセージに感極まる侍ジャパン・稲葉監督

涙をこらえきれなかった。東京五輪でチームを金メダルに導いた野球日本代表・侍ジャパンの稲葉篤紀監督(49)が30日、就任から4年の任期を終え、都内で退任会見を行った。

冒頭のあいさつで「身に余るような大役だったことを感じるが、最高の結果を得られることができたのはすべての選手、コーチ、スタッフ、裏方さん、関係したすべての人のおかげ」と感謝の意を口にすると、最後に「迷っていた私の背中を押してくれて、最大の理解者だった妻、子どもたちに心からの感謝を…伝えさせてください…」と述べかけたところで言葉を詰まらせた。目頭を熱くしながら、その後「本当にありがとう」と力強く言葉を絞り出した。

この日は午前中、ヤクルトでプロ人生をスタートさせた当時からの恩師・故野村克也氏の墓参りに赴き、墓前に金メダル獲得を報告した。席上では「私がジャパンの監督になった時、表向きではいろんなことを言っていたが、裏ではすごく心配してくれていた。本当だったら野村監督に東京五輪の戦いを見てもらいたかったが…。直接報告したかったので感謝の気持ちを伝えさせていただいた」と明かした。

また、会見ではサプライズで巨人・坂本、ヤクルト・山田、ソフトバンク・甲斐、レッズ・秋山がVTRメッセージが上映され、花束贈呈にもDeNA・山崎が登場。事前に伝えられていなかった指揮官は驚きの余り、再び大粒の涙をこぼしていた。

その一方、自身の退任後については「具体的な活動は未定」としながらも「これからも日本の野球界を支えていきたいと考えている。いただいたたくさんのご恩に対して微力だが野球界の発展に貢献していくことが、恩返しになるのではないかと考えている」と熱い口調で続けた。

侍ジャパンの次期監督選出に関しては、年内決定がメドとされている。バトンを受け継ぐ後任に稲葉監督は「私はやりたいことをすべてやらさせてもらった。次の監督がどういうふうになるか分からないですし、また監督の考えというのもある。そういう意味では何もアドバイスすることはない」と語るにとどめた。

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