【侍ジャパン】ポスト稲葉は迷走…現時点では「栗山監督で路線継承」「短期決戦の鬼・ラミレス氏」が有力視

退任会見で涙を流した稲葉監督。次の指揮官は誰か…

野球日本代表・侍ジャパンの後任監督人事が混迷している。稲葉篤紀監督(49)が30日に都内で退任会見を行った。一方でバトンを受ける次の指揮官は、年内決定をメドとする方向性が示されているものの、まだ発表には至っていない。では、誰が引き継ぐのか。現時点では当初有力候補と見られていた元巨人監督の高橋由伸氏(46)より、日本ハムの栗山英樹監督(60)、前DeNA監督のアレックス・ラミレス氏(46)の線が強くなっているという。

30日をもって任期満了となった侍ジャパン・稲葉監督は、この日の退任会見で後任に向けた助言を求められると「次の監督がどういうふうになるか分からないですし、また監督の考えというのもある。そういう意味では何もアドバイスすることはない」と述べ、慎重な言い回しに終始した。

後任候補としては、元巨人監督の高橋由伸氏や巨人・原辰徳監督、元ヤクルト・宮本慎也氏らの名前がすでに報じられているが、なかには「打診されてもやりません」と話している候補者もいるなど、すんなり決着とはいきそうにない雲行き。NPB関係者も「(後任決定は)できるだけ早い方がいいが、なかなかうまくいかないと思う。慎重にじっくりと時間をかけたい」としている。

次の国際大会は早ければ2023年春の開催が見込まれる第5回WBCだが、コロナ禍で先行き不透明。しかも東京五輪で金メダルを獲得し、大成功を収めた侍ジャパンを引き継ぐ新監督には、当然のように相応の結果が求められ、これまで以上の多大な重圧ものしかかる。そんな重責ある仕事を任せられる人物として、現在有力視されているのは、この2人だという。

まずは今季限りでの勇退がささやかれている日本ハム・栗山監督だ。

「『稲葉路線』の発展的継承という見地から判断すれば、日本ハムでは7年前まで〝師弟関係〟にもあった栗山監督がジャパンの後任になるのは自然の流れ。次のWBCでは日本人メジャーリーガーの参加も間違いなく焦点となることを考えれば、あの大谷(エンゼルス)に対してルーキー時代から二刀流の道を切り開いた手腕はMLBからも認められており、これ以上ない評価ポイントとなるはず。稲葉前監督が重視した『対話』と『調整力』もずば抜けているし、栗山ジャパン誕生の可能性は十分あると思う」(球界関係者)

栗山監督の就任となれば現在、日本ハム監督という立場にあることから、シーズン終了後の退任を待ち、一定の時間を置いてからの正式発表となるとみられる。

一方、ジワジワと浮上しているのがラミレス氏。DeNAの監督として5シーズン中4度のAクラス進出を果たし、17年にはチームを19年ぶりの日本シリーズ進出へと導くなど〝短期決戦の鬼〟として評価がある。

球界内ではラミレス氏について「侍ジャパン監督就任へ自らが売り込みをかけているとの情報もある。すでに日本国籍も取得し、日の丸に捧げる気持ちも実は強い。分析力とデータ野球に関し、非常に長けていることは過去の実績で証明済み。こうした点がプラス材料に働くのではないか」。他候補との交渉が難航した場合など「最終的にはラミレスに…」というパターンがあるかもしれない。

NPB側としては来春に新生・侍ジャパンの強化試合開催を目指していることから、何とか新指揮官の年内決定を図りたいところ。いずれにせよ、水面下の調整は今後拍車がかかりそうだ。

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