ソフトバンク、9回2点リードから痛恨の逆転負け 守護神・森の抑え失敗はなぜ起きた?

ソフトバンク・森唯斗【写真:藤浦一都】

「森で打たれたらしょうがない」と庇った工藤監督は「球威が出せていない気が」

■西武 8ー7 ソフトバンク(30日・PayPayドーム)

ソフトバンクは30日、本拠地PayPayドームで行われた西武戦に8-7で逆転負けを食らった。5回にデスパイネが3ランを放って逆転に成功したが、逃げ切りを図った9回に守護神の森が痛恨の3失点。首位ロッテとのゲーム差を4に縮めるチャンスだったが、最後の最後が逃げていった。

先発の杉山が3失点、2番手の松本も2失点し、3点のビハインドを背負ったソフトバンク。だが、好調な打線が5回に試合をひっくり返した。中村晃、栗原の連打でチャンスを作ると、柳田が適時二塁打。さらにデスパイネが右中間へ逆転の3ランを放って、リードを奪った。

6回から嘉弥真、7回岩嵜、8回モイネロのリレーで無失点に封じ、守護神へとバトンを渡した。点差は2点。逃げ切りを図ったが、暗転した。先頭の森にいきなり同点ソロを被弾。さらに中村に中前安打を許すと、1死二塁から栗山、山川に連続四球を与えて満塁とされた。

ここで外崎にはフォークを拾われ、左翼への犠飛で同点に。さらに、岸には左前に適時打を許して逆転され、森は呆然。その裏の反撃も得点には繋がらずに痛い逆転負けに、工藤監督は「森で打たれたらしょうがない。後ろを任せている必勝パターンなので、それが打たれたらしょうがない」と振り返った。

四球が失点に繋がった投手陣に「四球を出してしまうと結果はあまりよくない」

なぜ、鉄壁の守護神が打たれたのだろう。工藤監督は「横から見ているだけでは分からないですが、思い通りの球威が出せていない気はしました」と分析。ここ最近の登板では常時145キロ前後出ていた森のボールが、この日は140キロ台前半が中心。確かに普段よりも2、3キロスピードは出ていなかった。

これまで幾度となく修羅場を抑えてきたのが森だが、この日は四球も絡んだ。森はカットボールに加えて、抜群のコントロールが投球の生命線。そこに、わずかに乱れが生じていた。

この日は先発の杉山、2番手の松本も四球が失点に絡んだ。工藤監督は「結果として見れば、四球を出してしまうと結果はあまりよくないというところはある。勝負にいっているのか、いってないのか、というとどうなんだろうというところはあるんでね」と、投手陣自体に注文をつけていた。

痛い敗戦になったとはいえ、リードを奪われながらも、試合をひっくり返す展開に持ち込んだことはプラスに捉えられる。指揮官も「点を取られても取り返すというのはいいこと。打線自体はいいようにきていると思います。全部勝つことは無理なので、切り替えることが大事」と前を向く。残り19試合。ロッテ、オリックスとは5ゲーム差、楽天とは1.5ゲーム差。ソフトバンクはとにかく上を追いかけ続けていく。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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