高齢者らを後押し 国富町で乗り合いタクシー試行

高齢者らの移動手段確保のため、国富町が試験運行を始めた「デマンド型乗り合いタクシー」の利用者ら

 車を持たない高齢者や学生らの外出を後押しするため、国富町は1日、「デマンド型乗り合いタクシー」の試験運行を開始した。路線バスの通らない地域に住む高齢者らが対象で、利用申し込みに応じて指定乗降場への行き来で運行する。1年をめどに利用実績データや利用者の意見を集約し、改善を加えた上で来年度以降の本格導入を目指す。
 交通弱者の移動手段確保のほか、高齢者の免許返納を促すことなどが狙い。町内に営業所を置く「第一交通」に運行を委託し、同社のタクシー4台を使う。本年度の事業費は700万円。
 利用は登録制で、70歳以上の高齢者や障害者のほか、高校、大学などに通う学生が対象。宮崎交通の路線バスが通る県道宮崎須木線の沿線以外に住んでいることが条件で、町に利用登録すれば1回当たり400円で乗車できる。2人以上で乗り合わせた場合は1人200円となる。
 運行するのは日曜、祝日を除く午前7時~午後6時。原則、前日までの予約が必要で、公共施設や医療機関、商業施設など町内外20の指定乗降場と自宅を結ぶ。同じ時間帯に近くで利用があれば、乗り合いとなる。
 1日、同町八代北俣の金丸久美子さん(81)は町中心部の歯科医院までの移動に利用。「予約の手間はかかるけれど、家まで迎えに来てくれるし買い物にも使えるので便利。帰りも利用したい」と話していた。
 町企画政策課によると、9月末までに46人が利用登録。同課の伊藤孝副主幹は「今後、利用状況を見ながら、より多くの人が利用しやすい運行形態を探っていきたい」と述べていた。

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