<金口木舌>「ねこ活」始めませんか

 「吾輩は猫である」をはじめ、多くの文学作品に登場する猫は人間にとって最も身近な動物。当方も猫を飼っている。子どもと一緒に川の字になって寝たり、団らんに入ってきたりする。日なたで寝そべる姿に心が和む。大切な家族の一員だ

▼ペットブームである。「ペットフード協会」の推計では、2020年の犬と猫の飼育数は15歳未満の子どもの人口を上回っている。少子化・核家族化に伴い、ペットを家族と同じように捉える考え方が広がっている

▼長年、連れ添うと別れがつらそうだ。解剖学者の養老孟司さんは昨年末、飼い猫を老衰で失った。ペットロスを体験し、取材に「居そうな場所にふと視線がいく。そんな癖が、やっと抜けてきた」と話している

▼出会いもある。最近は「ねこ活」という言葉が登場。SNSで話題のイラストレーター、オキエイコさんの本「ねこ活はじめました」は、保護猫を飼うノウハウをつづる。迷子や飼い主の遺棄などで常時、保護猫が動物愛護センターで保護されている

▼「ねこ活―」はペットショップの生体販売から猫を飼うよりも、保護猫の飼育を勧める。引き取り手のない猫は毎年、殺処分される。保護猫の迎え入れは救命につながる

▼最期まで見守る覚悟も必要になる。見放されるほど不幸なことはない。「あなたの覚悟は何だったのか」。「吾輩―」に登場する猫から問い掛けられそうだ。

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