北朝鮮による武器密輸の取引現場を盗撮 ドキュメンタリー映画「THE MOLE」本編映像

10月15日より劇場公開される、デンマーク人スパイによる北朝鮮の国際的な闇取引(武器密輸)ネットワークへの潜入を捉えたドキュメンタリー映画「THE MOLE(ザ・モール)」から、本編映像が公開された。

公開された映像は北朝鮮の武器密輸の実態を暴こうと、スパイのウルリクと石油王になりすましたジェームズが仕組んだ隠し撮りしたもの。2016年にノルウェー・オスロのホテルで撮影された。映像では、KFA(朝鮮親善協会)会長のアレハンドロ・カオ・デ・ベノスという怪しげなスペイン人が、北朝鮮の生産する武器や覚醒剤の売買を2人に持ちかける。アレハンドロは「北朝鮮はいかなるルールも守る必要がない唯一の国です」と堂々と語り、世界的に制裁を受けているはずの北朝鮮が、中国や東南アジア、カナダの会社と取引があることも明言する。

あわせて10年に渡り北朝鮮に潜入したデンマーク人スパイで本作品の主人公であるウルリク・ラーセンの日本向けコメント映像も公開された。ウルリク・ラーセンは、「10年に渡り北朝鮮に潜入して、北朝鮮支持者や政権ウガンダの不動産業者らと世界中で取引してきました。米国でCIAエージェントの訓練も受けました。私は妻子を持ち、普通の生活を送る至って平凡な人間です。しかし私は北朝鮮潜入のため普通でない行動をとりました。日本の映画館に見に来て頂けると嬉しいです。本当は 直接ご挨拶できれば良いのですが、是非映画館でご覧ください。私が明らかにした物事が役立つなら、どんなことでもしたいです。そして北朝鮮政権が終焉を迎え、国民が自由と愛を取り戻すことを願います。映画館でお会いしましょう!」とコメントしている。

「THE MOLE(ザ・モール)」は、平凡なデンマークの一般市民が、CIAさえ容易に情報をつかめなかった北朝鮮の国際的な闇取引(武器密輸)のネットワークに潜り込み、その実態を赤裸々に暴いたドキュメンタリー映画。元料理人のウルリク・ラーセンと架空の石油王に扮したミスター・ジェームズのコンビが、北朝鮮の関係者たちを巧みに欺きながら盗撮を重ね、闇取引の奥底へと踏み込んでいく。監督は、「誰がハマーショルドを殺したか」のマッツ・ブリュガーが務めている。

本作を鑑賞した著名人のコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■小島秀夫(ゲームクリエイター)
これがフェイクでないのなら、全てのフィクションは吹き飛んでしまう。家族を騙し、スパイ(モール)活動を続けた男の10年間の記録。とてもこれがドキュメンタリーとは思えない。同時に知ってはいけない事実(もの)に触れてしまった恐怖がある。映画を観ている時も、これを書いているこの瞬間でさえも落ち着かない。自分もモールの一部になってしまったかのように。

■丸山ゴンザレス(ジャーナリスト)
『THE MOLE』で描かれる、世界の裏社会で暗躍する北朝鮮ビジネスマンたちは、ギャングやマフィアなんかよりも遥かに慣れている姿だった。明らかにされたのは、北朝鮮という国がどれほど世界の暗部に食い込んでいるかであった。

■小谷賢(日本大学危機管理学部教授)
本作品はスパイ物というジャンルにも関わらず、何のアクションシーンもない地味なものだ。しかしそれがかえって物語にリアリティを与えており、恐らくは専門家が観ても学ぶ所の多い内容だ。

【作品情報】
THE MOLE(ザ・モール)
2021年10月15日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開
配給:ツイン
(c) 2020 Piraya Film I AS & Wingman Media ApS

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