【高校野球】高校2年夏の初HRから1年間で24発 ドラフト候補に駆け上がった日本航空エドポロの覚醒

日本航空のエドポロ・ケイン【写真:間淳】

日本航空のエドポロ・ケインは今夏の甲子園に「3番・中堅」で出場

恵まれた体格と抜群の身体能力。今夏の甲子園に出場した日本航空(山梨)のエドポロ・ケイン外野手は、子どもの頃からの夢が現実となる瞬間を待っている。新型コロナウイルス感染拡大により対外試合が少ない中、高校通算24本塁打を放ったが、高校2年生の夏まで中学時代を含めて本塁打を打ったことがなかった。【間淳】

身長187センチ、体重84キロ。大きな体と長い手足が目を引く。エドポロ・ケイン選手は今夏、13年ぶりの甲子園出場を果たした日本航空で3番に座った。東明館(佐賀)との初戦で、8回1死二塁からライトフェンス直撃の二塁打。守備でも6回2死一、二塁で、センター前ヒットを本塁へ好返球して得点を許さなかった。

「遠投は最後に計測した時、82メートルでした」

聖地で披露した強肩を考えると物足りない数字に感じる。だが、エドポロが続けた言葉に驚かされる。「中学2年の時です。高校に入ってからは測っていないので」。中学時代から身体能力は飛び抜けていた。体も大きくパワーは申し分なかったというが、「ボールは飛ばなかったし、打球が全然上がらなかったです」。本塁打は1本も打てなかった。

覚醒した高2の夏、部活動再開後の練習試合で初本塁打を放つ

高校入学後も1年時は本塁打ゼロ。中学の頃からプロ野球選手を目指していたエドポロは、自信を失っていた。“覚醒”したのは高校2年生の夏だった。新型コロナウイルス感染拡大で部活動ができなくなり、高校2年生の6月まで約4か月、個人練習で技術を磨きながら、多くのメジャーリーガーの動画を見た。部活動が再開して最初の練習試合。“人生初”の本塁打を放つ。

「動画を見ていて感覚を掴みました。詰まっても打球が飛ぶことが分かって、詰まるのを恐れずにスイングするようになりました。逆方向への打撃はバットに当たった瞬間、手首を返すイメージにしたら打球が伸びるようになりました」

自慢のパワーをバットに伝え、甲子園で見せた二塁打のように逆方向へも強い打球を飛ばす感覚を得た。そして、覚醒したエドポロは本塁打を量産した。

「プロしか考えていません。指名されると信じて、プロに入った後を考えて練習しています。仮に育成でも、すぐに支配下登録される自信があります」。新型コロナの影響で対外試合が大幅に減る中、初めての柵越えから約1年間で24本塁打。急激な成長曲線を描いて、プロも注目する選手にまで駆け上がった。(間淳 / Jun Aida)

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