森きかちゃん米国で心臓移植へ 南島原などで募金 3億5千万円達成に感謝

「がんばるぞ」とポーズを取る木花ちゃん(左)と父賢吾さん=東京、国立成育医療研究センター(きかちゃんを救う会提供)

 重い心臓病で入院生活を送る森木花(きか)ちゃん(3)=神奈川県葉山町=の米国での心臓移植に向け、両親の友人らでつくる「きかちゃんを救う会」が6月末に始めた募金が1日、3カ月で目標の3億5千万円に達した。家族は早ければ今月末にも渡米する。父親で長崎県南島原市西有家町出身の森賢吾さん(41)は「本当にたくさんの人に支えてもらっている。一人一人の思いが集まり、短期間で達成できた」と、繰り返し感謝の言葉を述べた。
 木花ちゃんは1歳4カ月のとき、心臓の働きが低下する「拡張型心筋症」と診断され入院。治療を約9カ月続けても回復せず、命をつなぐために体外設置式補助人工心臓(VAD)を着けた。移植を待ったが、昨年11月に病状が悪化。両親はドナーが圧倒的に多い米国での移植を決意した。
 救う会は、医療費の保証金2億5千万円や専用機のチャーター費などを集めることに。東京や神奈川県、南島原市の街頭に延べ約700人の有志が約80回立ち、協力を呼び掛けた。
 同市では賢吾さんの中学時代にサッカーを教えた中村和典さん(53)や同級生が中心となり、店舗に募金箱を置いてもらい、商業施設でも直接訴えた。中村さんは「私たちの知らないところでも多くの人に募金してもらった」と市民に感謝する。
 賢吾さんは、病の進行や感染症など不安を抱える日々の中で、全国から寄せられた多くの激励メッセージが「心強かった」。木花ちゃんも「がんばれ、がんばれって言ってくれている」と、うれしそうに読んで聞かせてもらっているという。
 木花ちゃんは両親、兄と一緒に渡米後、コロンビア大学病院に入院し、移植希望リストに登録して順番を待つ。手術後は6カ月間の経過観察を経て帰国する予定。家族が目指すゴールは「4人で食卓を囲む普通の生活」だ。
 救う会の前島麻子代表は「長崎の皆さんにもたくさんの支援とパワーをいただき、大きな後押しとなった。木花ちゃんはこれからが本番。(募金は終えるが)引き続き応援を」と呼び掛けた。


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