深夜の閣僚就任会見、廃止へ 政府が方針「河野氏からのバトンを岸田内閣で」

 政府は、4日に発足する岸田文雄内閣の新閣僚を巡り、これまで首相官邸で行ってきた就任記者会見を廃止する方針を決めた。全閣僚が順番に会見することで未明にまでおよび、職員の負担となっていた。各省庁での会見に一本化する方向で調整中だ。

 複数の政府関係者や与党幹部が明らかにした。以前から「官僚の働き方改革に逆行する」と指摘されていたが、大きなきっかけは河野太郎規制改革担当相(衆院神奈川15区)が昨年9月の就任会見の際に行った問題提起。与党も「菅義偉首相(同2区)の内閣のレガシーとして、深夜会見廃止に踏み切るべきだ」(自民党閣僚経験者)と賛意を示す。

 新内閣の発足作業は午後の首相指名で新首相が決まってから始まる。任命の電話を受けた閣僚は首相官邸に呼び込まれ、新首相から担当分野などを正式に告げられた後、皇居で認証を受ける。夕方から夜にかけ官邸で初閣議や記念撮影を行った後、1人ずつ記者会見に臨む。

 その後、担当する各省庁に移り、2回目の記者会見を行うのが慣例となっていた。昨年9月16日の組閣作業では、首相を含む21人の閣僚の官邸での会見が終わったのは翌17日午前2時前だった。

 当日午前1時ごろに登壇した河野担当相は「記者会見は各省に大臣が散ってやれば今ごろみんな終わって寝ている。延々とここで行うのは前例主義、既得権、権威主義の最たるものだ。こんなものさっさとやめたらいい」と批判。今回の総裁選でも深夜会見の廃止を公約として語っていた。

 首相交代時の新方針に各省庁は「残業も確実に減る。国民の目線にも合う素晴らしい判断だ」(省庁幹部)と歓迎一色。自民党幹部も「河野氏からのバトンが岸田内閣で実現されるという政策リレーは総選挙に向けアピール効果が高い」と皮算用している。

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