古川哲也さん(48、中郷区・二本木いろは) 東京五輪空手女子形・清水選手指導し「銀」  経験生かし地元貢献誓う

 東京オリンピックの空手競技で、古川哲也さん(48、中郷区・二本木いろは、上越市木田2)が日本代表のコーチを務めた。2016(平成28)年から女子形の清水希容選手(27)を指導してきた。「金メダル以外は負け」と挑んだ五輪の舞台で結果はライバルのスペインの選手に敗れ、銀メダル。「率直に悔しい」結果を受け止め、新たな歩みを進める。

東京オリンピックの公式スポーツウエアを着用し、道場に立つ古川さん(中郷総合体育館)

 このほど取材に応じ、「形競技は日本のお家芸。目標だったのが金メダル。銀メダルは率直に悔しい」と振り返る。5年間の指導で清水選手のいる大阪に行ったり、同選手から上越に来てもらったりし、二人三脚の歩みを続けた。築き上げてきた技と心身の状態は「過去一番の仕上がり」で、決勝を含め4回の演武は「非常にいい出来だった」。だが、わずかな差で金メダルには届かなかった。

 気落ちする清水選手には「オリンピックの舞台でメダルを取れたことは胸を張っていい。空手の良さを知ってもらい、メダル以上のものを残せたのでは」と声を掛けた。「(男子形で金メダルの)喜友名(諒)選手(31)にしてもそうだが、一般の方にも空手の形を認知していただけた。礼儀作法、凜(りん)としたたたずまいなど、いい効果が出たのでは。目標の半分は達成できたのではないか」と言い聞かせる。

 全日本空手道連盟より打診があり、日本代表のコーチは継続となり、日本トップでの指導は続く。同選手だけでなく、今度は11月の世界選手権(ドバイ)へ向け、男女個人、団体形の指導を行う。「(五輪で)金メダルを取れなかったのは指導者の責任。真摯(しんし)に受け止め、総括して、次は優勝できるように」と目標を定める。

 空手として初のオリンピック、選手(世界で80人、日本から8人)や指導者でほんの一握りしか経験できなかった夢舞台の経験をどう還元できるかを考える。「経験できたことはしっかりと生かしていきたい。トップになればなるほど、子どもの頃から培った基礎的なものが大事。自身の道場もそうですし、上越、新潟県にいいものを提供し、さらにいい選手を輩出できれば。空手をやる子が多くなるように」と地元への貢献も心に誓う。

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