宣言解除後 初の週末 栃木県内観光地 多くの人出 不安は消えず、対策徹底

多くの観光客の姿があった神橋交差点=2日午後1時45分、日光市山内

 栃木県内は2日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う国の緊急事態宣言が解除されて最初の週末を迎えた。台風一過の秋晴れの下、観光地には家族連れなど県内外から多くの人が訪れ、徐々ににぎわいが戻りつつある。一方で、感染再拡大への不安は常に隣り合わせ。観光客も、客を迎える観光地も、引き続き感染対策と警戒を強めている。

 世界遺産「日光の社寺」周辺には2日、県内外からの多くの観光客の姿があった。社寺周辺の道路には時折車列ができた。

 日光東照宮をカップルで参拝した千葉県、医療従事者山口智也(やまぐちともや)さん(25)は約3カ月ぶりの旅行という。「迷ったが、宣言が解除されたので来た」。消毒スプレーを携帯しながらの観光で「感染対策を徹底しながら楽しんでいる」とマスク越しに笑顔をのぞかせた。

 県日光自然博物館によると、奥日光の戦場ケ原付近の赤沼駐車場は午前8時には約180台分が既に満車だった。担当者は「見頃の草紅葉を見に来る観光客が増えてきた」と話す。

 宣言解除を受け、那須町の那須どうぶつ王国は1日から、動物のパフォーマンスの公演回数を増やした。2日は首都圏からの来園者が増えたという。

 同園の鈴木和也(すずきかずや)総支配人(60)は「8、9月は団体客がほぼキャンセルだったが、10月中旬以降は予約が入ってきている。このまま来場者数は増えるだろう」と期待した。

 那須塩原市の那須野が原公園は1日から、有料アスレチック施設などが営業を再開した。息子らを連れてきた同市、女性(49)は「子どもたちは外で遊ばないと寝付きが悪くなりがち。今日はぐっすりだと思う」と話した。

 「お客さまの表情が明るくなった」。宇都宮餃子(ぎょーざ)会の鈴木章弘(すずきあきひろ)事務局長(49)は直営店「来らっせ本店」の店内を見回し、安堵(あんど)した。

 お昼時には満席が続き、お酒とギョーザを楽しむ観光客の姿が戻った。「感染対策を意識しながら、穏やかに食事を楽しんでくれている」。ただ、宣言の全面解除には危機感も強い。「感染者が増え、年末に再発令という事態は何としても避けたい」と警戒した。

那須野が原公園のアスレチック施設で遊ぶ子ども=2日午後2時15分、那須塩原市千本松

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