これぞハッピーチューン!「まつり」でシメる北島三郎サクセスストーリー  10月4日は北島三郎の誕生日

サブちゃんの人生を体感できるアミューズメントパーク、北島三郎記念館

先日、函館ひとり旅をした。函館山からの夜景、五稜郭、エキゾチックな街並みなど、数々の名所がある中、私がひそかに楽しみにしていたのが、北島三郎記念館だ。

高校時代のサブちゃんが、片道1時間半かけて学校まで通学したダルマストーブの汽車。上京を決意し、津軽海峡を渡った青函連絡船のデッキ。上京時の小さな下宿部屋。ギターの流しをした昭和30年代の渋谷のんべえ横丁。

館内には、こうしたサブちゃん思い出の地が再現されている。記念館というより、さしずめ、サブちゃんの人生を体感できるアミューズメントパークだ。

スタッフのお姉さんが、この思い出の地をガイドしてくれるのだが、この語りがやたら上手い。ときに哀感たっぷりに、ときにユーモアをきかせて、講談師ばりに語られるサブちゃん立身出世伝に、思わず引き込まれる。今どきは、音声ガイドによるナレーションが当たり前だが、やっぱり生の語りは違うわぁ。

歴代シングルの全ジャケットも展示されていたが…

さあ次はいよいよ、スターになったサブちゃんの功績! と思ったら、ここは意外にあっさり。歴代シングルの全ジャケット、そして数点のトロフィー&表彰盾が飾ってあるだけ。ところどころでお姉さんが、曲の説明をするが、デビュー前の苦節の道のり再現にくらべると、かなりさらっとしている。

ほほぉ、このあたりがパンチパーマ時代か、なんて歴代シングルに見入っていると…

「さあ、ラストは北島三郎オンステージです。あの『まつり』を歌います。みなさん、あちらの部屋に移動して、ステージ前の席にお座りください」

あれ、もうラスト? デビュー後の功績、語らなさすぎじゃ? 演歌界のドンになったとか、北島音楽事務所立ち上げたとか、原譲二ペンネームで曲作ったとか、語らなくていいの? と、もやもや。

もうひとつ、気になったことがある。館内は、サブちゃんヒットメドレーがループしていると予想していたのに、一切なし。お姉さんのガイドの合間にサブちゃんからのメッセージは流れたが、数々のヒット曲は流れない。だが、サブちゃんロボットがねぶたの山車のようなセットの上で歌う「まつり」を聴くうちに、これはこれでありか… と思えてきた。

北島三郎「まつり」山の神、海の神、豊作、大漁に感謝する圧倒的な多幸感

サブちゃん立身出世伝のハッピーエンドを「まつり」に凝縮した潔さ、とでもいうべきか。山の神にも海の神にも、豊作にも大漁にも感謝し、めでたがるハッピーサブちゃん。ここに必要なのは「函館の女」でも、「風雪ながれ旅」でも、「与作」でも、ましてや「兄弟仁義」でもない。「まつり」の圧倒的な多幸感なのだ。

そりゃ、紅白のトリで5回もこの曲が歌われ、ヤワラが結婚披露宴で歌ってくれとせがむわけだ。ここまでめでたさに満ちあふれた曲、なかなかないよね。と、うなずきながら、私はサブちゃんの銅像と握手し、記念館を後にした。

編集部より 北島三郎記念館は、令和3年9月1日よりしばらくの期間休館となっています

※2017年10月14日、2018年10月4日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: 平マリアンヌ

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