MotoGP第15戦アメリカズGPの決勝レースがサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われ、MotoGPクラスはマルク・マルケス（レプソル・ホンダ・チーム）が独走で優勝を飾り、今季2勝目を挙げた。5番グリッドからスタートした中上貴晶（LCRホンダ・イデミツ）は2周目に転倒を喫し、17位でレースを終えた。
日曜日、最初のレースとして行われたMoto3クラスの決勝レースでは転倒、多重クラッシュが発生したことにより2度の赤旗が提示される。しかし、MotoGPクラスの決勝レースは現地時間14時から変わりなく行われた。
決勝レースは気温33度、路面温度43度のドライコンディションでスタートを迎えた。好スタートを切ってホールショットを奪ったのは、3番グリッドスタートのマルク・マルケス（レプソル・ホンダ・チーム）だった。そのマルク・マルケスにファビオ・クアルタラロ（モンスターエナジー・ヤマハMotoGP）、フランセスコ・バニャイア（ドゥカティ・レノボ・チーム）が続く。さらに7番グリッドからスタートしたアレックス・リンス（チーム・スズキ・エクスター）が4番手に浮上。1周目の前半でバニャイアをかわし、3番手に浮上する。
バニャイアは4番手に後退したのちリンスから遅れ、さらに2周目にはホルヘ・マルティン（プラマック・レーシング）にもかわされて5番手に後退。その背に中上貴晶（LCRホンダ・イデミツ）が迫っていたが、中上は2周目の12コーナーで転倒を喫してしまう。中上は再びレースに加わったが、最後尾にポジションを落とした。
序盤はリンスとマルティンによる激しい3番手争いが展開される。マルティンはリンスにテール・トゥ・ノーズで迫っていたが、4周目にはオーバーテイクに成功し、3番手にポジションを上げた。マルティンはさらに2番手のクアルタラロに迫る。このころになると、マルク・マルケスは2番手のクアルタラロとの差を広げ始めていた。
さらにポジションを上げてきていたのは、10番手スタートのジャック・ミラー（ドゥカティ・レノボ・チーム）である。7周の間に4番手にまで浮上し、ミラーは3番手のマルティンを追いかける。一時は0.5秒を切るまでにギャップを詰めたが、レースが中盤に入ると再びマルティンとの差が開いていった。そして次第に5番手のバニャイアとの差が小さなものになっていく。13周目にはバニャイアがミラーをパス。バニャイアが4番手に浮上した。5番手に後退したミラーには、序盤に3番手を走行していたリンスが迫る。
一方、トップのマルク・マルケス、2番手のクアルタラロ、3番手のマルティンはそれぞれ1秒以上の差があり、ほとんど単独走行となっていた。今季のサーキット・オブ・ジ・アメリカズは路面のバンプが問題となっており、元々のレイアウトに加えてフィジカル的にさらに厳しい戦いが要求されると思われていた。しかしマルク・マルケスはレース終盤の残り5周に入っても安定したペースを刻んでトップを守り、2番手のクアルタラロに対し4秒以上のアドバンテージを築いて周回を重ねていく。
残り4周、3番手を走行していたマルティンが5コーナーで大きくコースを外れてしまうミスを喫する。このため、1秒以上あった4番手のバニャイアとの差は一気に縮まった。さらにその翌周、マルティンのオーバーランがショートカットと判断され、ロングラップ・ペナルティが科される。バニャイアはそんなマルティンをコース上でオーバーテイクし、3番手に浮上した。
マルク・マルケスは1周目から誰にもトップを明け渡すことなく、そのままチェッカーを受けた。ドイツGP以来の優勝で、今季2勝目。得意とするアメリカズGPで7度目の優勝を飾った。
2位はクアルタラロ、3位はバニャイアで、チャンピオンシップを争うランキングトップのクアルタラロとランキング2番手のバニャイアとの差は52ポイントに広がった。また、ランキング3番手のジョアン・ミル（チーム・スズキ・エクスター）が8位に終わったことで、ミルのタイトル獲得の可能性は消失した。なお、ミルは7番手でフィニッシュラインを通過したが、最終ラップでのミラーとの接触に対し1ポジション降格のペナルティが科されて最終結果は8位となっている。
4位はリンス、5位は終盤まで3番手を走行しながらもロングラップ・ペナルティを受けたマルティンだった。また、前戦サンマリノGPで表彰台を獲得したルーキー、エネア・バスティアニーニ（アビンティア・エスポンソラーマ）が16番グリッドからスタートして6位でフィニッシュしている。
バレンティーノ・ロッシ（ペトロナス・ヤマハSRT）は15位、序盤に転倒した中上は17位でレースを終えた。
