田村奈央(声優)- 『ワールドトリガー』凄いありがたいことですし、同時に責任も感じています

「戻ってきたんだな」と嬉しさが込み上げてきました

――『ワールドトリガー』も3rdシーズンを迎えますが、田村(奈央)さんが感じている作品の魅力について伺えますか。

田村:まず、お話が面白いです。お話が進むにつれてキャラクターが増えてきますが、それぞれがいい味を出しているんですよね。たくさんのキャラクター達を動かしながらストーリーを展開していく葦原(大介)先生の頭の中はどうなっているんだろうと思ってしまいます。

――更に盛り上がりを見せる3rdシーズンが始まりますが、そのことへの率直な感想を伺えますか。

田村:2ndシーズンでは新生玉狛第2結成!という良いところで終わったので、3rdシーズンでその続きが間隔を空けずに出来るという事でとても嬉しいです。

――1stシーズンと2ndシーズンは5年空きましたが、スグ役に入っていけましたか。

田村:5年のブランクを埋めるために(雨取)千佳のお芝居を思い出す作業をしました。1stシーズンを見返したり、(空閑)遊真役の(村中)知ちゃんに協力してもらって電話越しで千佳に聞こえるかチューニングを手伝ってもらいました。

――どういったところでチューニングが必要だったのでしょうか。

田村: 1stシーズンで作り上げてきた千佳が、5年経つとそれが自然に出来なくなっている感覚がありました。若干の誤差でも違うキャラクターになってしまうので、そこを合わせていく作業が大変でした。これで大丈夫かなという不安はありましたが、皆さんからは「大丈夫」と言っていただけたので良かったです。

――今はその不安がなく入っていけているんですね。

田村:はい。今は千佳を全うするぞという気持ちでやっています。

成長と葛藤、そういう物を大事に演じようと思っています

――千佳を演じていてどういうキャラクターだと感じられていますか。

田村: 忍耐力があってコツコツと積み上げていく子なんですね。あと、感情を表に出す性格ではないので、本当に繊細な子だなと思います。

――シーズンを重ねていく中で千佳のここが成長しているなと感じる事はありますか。

田村:2ndシーズンに入ってからは自分に今できることを行動に移していて、人が撃てないなりに仲間に貢献しようという姿勢が出てきていて本当に素敵だなと思っています。それは千佳自身が努力しているという事もありますが、自分ひとりの力じゃなく仲間の支えがあるから成長できているとも思ってます。その点がランク戦の中で少しずつ成果として上がってきているのは本当に凄いです。千佳のそういう所を私も見習いたいなと思います。

――本当に仲間のために自分も変わらなくては、助けなくては、という気持ちがどんどん強くなっているような感じますね。

田村:遠征を目指すという目標もあって心構えがどんどん変わってきているというのもあるんだと思います。3rdシーズンでは千佳の心情に変化が出てくるお話もあるので、そこが楽しみでもあり、気を引き締めなきゃなとも思っています。

――3rdシーズンで千佳が勇気を持って前進していく姿を見られて如何ですか。

田村:千佳は壮絶な過去を歩んできましたが、修と遊真と出会ったことを切っ掛けに自分の目的のために頑張っていく。最初は「自分にできることなんて」という感じで自信がなかったけれど、色んな人に支えられながら、壁にぶつかりながらも着実に成長してしているというのは作品を通して感じています。千佳を演じられるのは凄いありがたいことですし、同時に責任も感じています。3rdシーズンで描かれている千佳の成長と葛藤、そういうところを大事に演じようと思っています。

――千佳の成長とともに3rdシーズンではヒュースが玉狛第2に加入する事でチームとしても大きく変化していきますね。

田村:いままでは遊真が前衛に出て千佳や修はアシストに回ることが多かったですが、そこにヒュースが加わることで戦術面でも大きく変わります。3rdシーズンは序盤からヒュースの活躍が遺憾なく発揮されています。島﨑(信長)さんとはアフレコでご一緒させていただいていますが、玉狛第2チームとしてもいい雰囲気がアフレコブースでも出ています。いまはコロナ禍で人数制限もあって玉狛第2が全員そろったことが無いので、いつかアフレコ現場でも全員で集まれたらいいなと思っています。

――島﨑さんは3rdシーズン対しての意気込みなどをおっしゃられていたことなどはありましたか。

田村:アフレコ現場で「俺はやってやるぜ」というようなことをおっしゃってはいなかったですが、先日の『ワールドトリガーチャンネルVol.1』YouTube配信でご一緒した際に熱い想いを語られていました。

――1stシーズンからのアフレコ経験で生きている事はありますか。

田村:1stシーズンでみなさんとアフレコをご一緒出来た経験があることで、いまは現場でご一緒できなくてもみなさんの声でキャラクターの演技が頭の中で再生されてできているところもあります。本当はみんなで一緒にできるといいのですが。

――その時の経験は貴重なものですね。

田村:振り返って今思うと、大御所の方ばかりで同じ空間に居られるという事が凄いことだなと改めて感じています。1stシーズンは本当に濃かったですね。毎週飲みに行っていた印象があります。いまはそれが出来ないですが、また飲みに行けるようになれるといいなと思います。

――2ndシーズン・3rdシーズンと経験を重ねてきてご自身の中で成長を感じられることはありますか。

田村:1stシーズンではいつも必死で先輩たちの演技の凄さに圧倒されてアワアワしていたので、慌てないように気を付けています。今は地に足をつけてより役に入っていけるようになってきました。千佳の心の機微を大事にしようと意識しています。1stシーズンでもその心がけはしていましたが、よりその意識を強く持っています。

千佳の変化も注目していただけたら

――2ndシーズンで印象的なエピソードやシーンがあれば伺えますか。

田村:私個人としては、柿崎(国治)さんと遊真の一対一の勝負が印象的でした。柿崎さんの「新しい連中がどれだけ派手に追い抜いて行っても、それであいつらの価値が消えてなくなるわけじゃないんだ」という言葉が印象的でした。ボーダーの凄い人ばかりしかいない中、柿崎さんの泥臭さ・人間臭さが出ていて好きなシーンです。

――千佳のシーンでは如何ですか。

田村:千佳は(絵馬)ユズルくんにレッドバレットで相手を拘束する方法を教えてもらって、香取隊と柿崎隊とのランク戦でお披露目した話です。「やったね、いいぞ」と思いました。あとは、王子隊の樫尾(由多嘉)さんを修と千佳で連携して打ち取るシーンも好きです。玉狛第2は基本的に遊真が前衛として切り込んでいたんですけど、2人で樫尾さんを落としたシーンは胸が熱くなりました。

――『ワールドトリガー』は本当に名シーン・名エピソードばかりですよね。

田村:そうですね。

――3rdシーズン放送も楽しみですが、10/17には「ワールドトリガー THE MUSIC EXPO」が開催されます。生オーケストラで音楽から『ワールドトリガー』の魅力に浸ることが出来るという事でこのイベントもファン垂涎のイベントですね。意外にも初めての音楽イベントでということで田村さんもご出演されますが、開催を前にしての意気込みを伺えますか。

田村:個人的にも川井(憲次)さんの音楽をオーケストラで聞けることを楽しみにしています。私は昔からサンウンドトラックを聞くのが好きなんです。それを生演奏でしかもオーケストラで聞けるイベントは本当に楽しみです。『ワールドトリガー』ファンにとってもたまらないイベントになると思います。

――生で聞くと音楽の良さがダイレクトに伝わってきますからいいですよね。

田村:そうですね。聞くところによると川井さんは千佳が一番好きなキャラらしいので、当日は千佳から外れた行動はしないように気を付けます(笑)。

――では、お二人の掛け合いも楽しみですね。

田村:みなさんの前で川井さんとお話しできる機会かもしれないので、そこも楽しみにしてください。

――改めて3rdシーズンの見どころをお伺いできますか。

田村:3rdシーズンでは新生玉狛第2が結成され、そこからのランク戦始まります。『ワールドトリガー』の戦闘が本当にカッコいいので、ヒュースも加わった玉狛第2の戦術や各隊の技の見せあいや駆け引きを楽しみに待っていただければと思います。あとは、ヒュースは千佳が変わるきっかけにもなっています、ヒュースが加わったことによる千佳の変化も注目していただけたら嬉しいなと思います。

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