金子氏農相初入閣 農林水産振興に期待 諫干早期解決を

 自民党の岸田文雄総裁が発足させる新内閣で長崎県選出の金子原二郎参院議員が農相に就任することが固まった3日、地元からは一層の農林水産業の振興を期待する声が相次いだ。一方、混迷する国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防の開門を巡り開門派、反対派の双方が早期解決を求めた。
 平戸市出身の閣僚は1982年に農相となった父・岩三氏(故人)以来。同市の黒田成彦市長は「親子二代での主要ポストへの就任はめでたいこと。人口減少対策や地域経済復興には農林水産業の活性化は欠かせない。大きな力になってくれる」と喜んだ。
 金子氏は、これまでに日本遠洋旋網漁協組合長を務めるなど水産業に精通。同市生月町にある舘浦漁協の鴨川周二組合長は「漁業は各地共通の課題が多い。国政から地方行政まで幅広く経験し、現場を熟知してくれている」と信頼を寄せる。
 佐世保商工会議所の金子卓也会頭は「農林水産業は金子氏が得意とする分野で適材適所の配置。地元にとっても大きなプラスになる」と期待した。
 一方、開門を巡る訴訟が継続中の国営諫早湾干拓事業。中央干拓地で農業を営む諫早市の荒木一幸さん(44)は「金子さんは干拓事業の経緯を知っている。潮受け堤防を開門したら塩害や風評被害でこれまでの努力が水の泡になる。開門せず、問題解決を図って」と要望。一方、開門を求める島原市の漁業者、松本正明さん(69)は「有明海の漁業環境を改善するためには開門調査が必要。金子氏には調査を徹底してほしい」と訴えた。

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