校則アンケート「厳しすぎる」 検査「上着めくらせられる」 生徒不快 、学校は見直す方針 長崎

 長崎新聞社が、本紙情報窓口「ナガサキポスト」のLINEで実施した校則に関するアンケートで、肌着の色の指定や髪形の細かいルールについて「厳しすぎる」「見直してほしい」などの意見が多く寄せられた。教員による服装検査で、上着をめくらせられ、不快な思いをしている生徒がいる実態も明らかになった。

 アンケートは9月上旬に実施。「理不尽だ」などと感じる校則について尋ね、中高生やその保護者ら57人から回答があった。

■下からのぞくように


 取材班の目を引いたのは服装検査に関する投稿。県北のある女子高校生が通う学校は、女子の肌着の色を白、グレー、ベージュと指定。夏服の時期に検査があり、生徒が制服の上着を少しめくり、女性教員が下からのぞくようにして確認するという。9月上旬にも行われ、男女とも体育館に集められた。

 「肌着チェックをする意味がわからない。自分以外にも嫌な思いをしている生徒はいるはず。男子と女子は分けて検査すべきだ」。女子生徒はこう訴える。

■「不適切だった」


 肌着の検査を巡っては、長崎県教委が今年3月、県立高や国公立中に「肌着の色の確認行為は人権侵害とならないよう配慮すべき」と通知。今回のような検査は通知以降も続けられていたのか。それは人権侵害には当たらないのか。

 女子生徒が通う学校は取材に対し、県教委による通知以降も、上着をめくらせる行為があったことは「事実」と認めた上で「肌着の色ではなく、スカートを腰の部分で折り込んで、丈を短くしていないかを確認していた」と釈明。上着をめくった時、たまたま肌着が見えて違反していれば注意していたというが、「生徒が不快な思いをしており、不適切だった」として今後見直す方針だ。

 県教委は「人権侵害とまではいえない」との見解を示す。ただ「上着をめくらせる行為については、どこまでめくるのかなどを生徒に事前に説明して、理解を得た上でやる必要があった」と指摘した。

 長崎市の大学3年の女性(22)も、かつて通った県立高で不適切な肌着検査があったと明かした。毎月、体育館に男女別に整列。女子の場合、教員が列の横を通る際、生徒自ら制服の上着の裾を少し上げ、肌着が透けない色かどうか目視で確認されていた。

 女性の教員が担当していたこともあり、特に抵抗感はなかった。でも思い返せば、検査の時、肌着を着ておらず、恥ずかしそうにしている子もいた。嫌な思いを抱えていた子もいたかもしれない。高校を卒業して数年がたった今は「自分にもし子どもがいたら、そんな気持ちにさせたくない」と思う。

 ■「地毛証明書、受け付けない」


 本紙アンケートでは、頭髪や眉毛を巡る校則への意見も目立った。県北の女子高生は入学してすぐ、生徒指導の教員が放った言葉が忘れられない。「髪は黒であるべきだ。地毛が茶色だとしても面接で不利になる。だから地毛証明書も受け付けない」

 女子生徒が通う高校は、卒業後就職する生徒が比較的多い。それを意識した発言だったかもしれないが、生まれつき髪が明るい茶色の人もいる。実際に頭髪を黒色に染めるよう強要された事例は知らないが「ショックだった」と振り返る。

 「三つ編み」への不満も聞かれた。西彼時津町の女子高生によると、女子が髪を伸ばす場合は結ぶのがルールだが、結び目から20センチを越えると三つ編みと決められている。「カラーやパーマはダメでもよいので、結び方は自由にしてほしい」。一方、高校時代、太い眉がコンプレックスだったという時津町の女性(27)は「形を整える程度は認めてあげてほしい」と“後輩”を思いやった。

 ■白か黒か


 校則変更に向け、生徒たち自身がアクションを起こしたケースも。

 大村市の高校3年の男子は「この夏、生徒総会で出た意見を教員側に提出した」と教えてくれた。襟足などを刈り上げ段差をつくる「ツーブロック」や、髪を一つに束ねる「ポニーテール」などの髪形、あるいは眉を整えることなどを「身だしなみ」として許可するよう求めたという。

 学校側の回答は、意外な内容だった。「ポニーテールや眉は『暗黙の了解』で許可しており、ツーブロックも奇抜なもの以外は検査を通している」。教員側がはっきりと白黒は付けず、大目に見るところは見ている現状を知った。

 男子生徒もこう思う。校則を変更するにしても、例えばツーブロックをどの範囲で認めるのか。規則を細かく決めれば決めるほど、検査時間も長くなるのではないか-。議論は煮詰まらないまま、生徒も教員も学業や業務に忙殺され、宙に浮いたままだ。

 ■スマホ、学業に懸念


 「残してほしい校則」として、島原市の高校3年男子が挙げたのは「スマホの持ち込み禁止」。学習用に配備されたタブレット端末が不適切な形で使われた-と他校の友人から聞き、「スマホなら、タブレット端末以上にさまざまな問題が予想される。学習に支障を来す」と心配だからだ。ただ、緊急時の連絡手段としては有効なので「登校時に学校に預け、下校時に返してもらうなどの工夫があればよさそう」と提案した。

(手島聡志、嘉村友里恵、三代直矢、湯村高大)


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