菅首相が退任 在職384日、歴代12番目の短さ 大きな声で「ありがとう!」

花束を手に一礼する菅首相=4日午前12時半、首相官邸(花輪久写す)

 菅義偉首相(衆院神奈川2区)は4日、後継の自民党総裁・岸田文雄氏へ首相の任を引き継いだ。菅内閣は同日午前の臨時閣議で総辞職し在職384日で幕を閉じた。

 同閣議で東京五輪・パラリンピックの開催など振り返り、「国民に支えられてここまでこられた」と謝意を示した。

 総辞職に当たり閣議決定した首相談話では「『国民のために働く内閣』としてさまざまな改革を進め、多くの課題に対処してきた」と説明。新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言などを全面解除したことを巡り「安心とにぎわいのある日常に向けた大きな一歩を踏み出せた」と自己評価し、「新総理に対しても、みなさまの御支援をお願いします」と結んだ。

 同日午後に首相官邸を後にする際に持たれたセレモニーでは、「ありがとうございました!お世話になりました!」と大声であいさつ。職員から受け取った花束を掲げ、「ありがとう」を繰り返し拍手で見送られた。自身最後の定例会見で閣議の様子などを紹介した加藤勝信官房長官は「厳しい評価もあった中で総理は常に一生懸命だった」などと説明した。

 菅首相は就任当初からデジタル庁創設や地球温暖化対策、携帯電話料金引き下げなどに取り組んだ。一方、コロナ対策では緊急事態宣言の発令や解除を繰り返すなど対応に苦慮。宣言発令中に開催した五輪・パラリンピックを巡っては賛否で世論が対立する事態も招いた。

 在職384日は戦後の歴代首相34人では12番目の短さ。近年では鳩山由紀夫(266日)、麻生太郎(358日)、福田康夫(365日)の3氏は上回り、菅直人氏(452日)にはおよばなかった。

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