岸田新総裁「女性を見る目」は大丈夫か? 堀内詔子氏、牧島かれん氏を大臣抜擢の狙い

「岸田カラー」は出せたのか?

自民党の岸田文雄総裁(64)が4日、第100代の首相に選出され、岸田内閣が発足した。初入閣は13人で、目玉となったのは、当選3回で新閣僚に抜てきされた堀内詔子衆院議員(55)と牧島かれん衆院議員(44)の女性2人だ。果たして人事の狙いは何なのか? また早くも不安視されている閣僚もいるという――。

麻生太郎財務相や小泉進次郎環境相など閣僚常連組が消え、閣内に残留するのは岸信夫防衛相や茂木敏充外相、文科相から横滑りした萩生田光一経産相の3人のみ。ほか17人が新顔で、初入閣は13人にも上る。注目された女性の起用では、総裁選を争った野田聖子氏を少子化、こども庁、地方創生担当相に起用し、堀内氏をワクチン兼五輪相、牧島氏をデジタル相にあてた。

堀内氏は岸田派所属の山梨2区選出で、祖父は初代日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)の総裁を務めた故・小林中氏。明治維新の三傑の一人である大久保利通の子孫にもあたる。また、夫の堀内光一郎氏は富士急行社長で、その父親の故・光雄さんは、通産相や労働相、党総務会長を歴任した自民党の重鎮だった。

「堀内議員の息子は以前、秋篠宮家の次女・佳子さまと将来、結婚が約束されている、いわゆる『いいなずけ(許婚)』の関係ではないかと騒がれ、週刊誌のネタになったこともありました。それほどの〝華麗なる一族〟なのに前回の衆院選では二階幹事長から刺客を送られ、公認が出たのが選挙中という異例の事態になったほど、苦労している」(永田町関係者)

堀内氏は現山梨県知事の長崎幸太郎氏と長く激戦を繰り広げてきたが、今回の大臣抜擢で、二階派への当てつけと同時に〝名門・堀内家〟の政界での復活をアピールすることになる。

牧島氏の地盤は神奈川17区で、父親は元県議で小泉純一郎元首相の秘書を務めるなどした政治家一家。「昨年、党の青年局長に女性ながら就任し、若手のホープとして、将来を嘱望されていた」(党関係者)

17区は河野太郎氏の父・洋平氏の地盤で、牧島氏は今回の総裁選では〝恩返し〟とばかりに河野氏の推薦人を務め、選対を切り盛りした。

「今回の組閣で、河野陣営を支えた小泉進次郎氏や石破茂氏は干された。本来、牧島氏も冷遇されてもおかしくないところをあえて一本釣りしたことで、岸田首相は河野氏周辺にクサビを打ったともいえます。同じく二階派で、当選3回の小林鷹之氏を新設の経済安全保障相に起用したのも同様です」(同関係者)

牧島氏の起用は、岸田氏の巧みな人事が裏読みできるという。

女性の起用には緻密な計算が働いている一方、「どうして大臣にしたのか?」と疑問の声が出ているのが、二之湯智国家公安委員長(77)だ。

「二之湯氏は、元公設秘書の男が100歳の老人の自宅に押し入ったり、1億円強奪事件を働き、逮捕され、物議を醸した。男は奪った金で、京都の祇園や宮川町で豪遊し、悪評が絶えなかった。今年3月に地裁判決で懲役13年が言い渡された。そのボスが国家公安委員長に就任とは驚くばかり」(京都の政界関係者)

ほかにも野党が新閣僚の資質やスキャンダルのネタで手ぐすね引いているが、岸田首相はこの日、衆院選を19日公示、31日投開票で行うと表明。当初想定されていた最短日程の26日公示、来月7日投開票から1週間も繰り上げた。

19日、31日ともに仏滅で、縁起を担ぐ永田町では忌み避けられる日程だが、臨時国会では所信表明演説、代表質問のみで、個別に閣僚が狙い撃ちされる予算委員会は行わずに〝失点〟を防ぎたい考えがうかがえる。

「この岸田にお任せいただけるのかどうかをご判断いただき、可能であるならば国民の信任を背景に信頼と共感の政治を全面的に動かしていきたい」と決意を述べた岸田氏だが、果たしてこの新内閣の顔ぶれと衆院選の日程は、吉と出るか凶と出るか――。

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