衆院選 日程前倒し31日投開票へ 長崎県内陣営「すべてリセットだ」

 「すべてリセットだ」。想定されていた衆院選日程が前倒しとなり、ゴールの投開票(31日)まで1カ月もない。長崎県内の各陣営は対応に追われ、ギアを上げた。
 4日正午すぎ、長崎市内。長崎1区に出馬予定の自民新人、初村滝一郎氏(42)の事務所で、陣営幹部の携帯電話が鳴った。外回り中の初村氏からだった。ポスターやチラシなど準備状況を尋ねられた幹部は「大丈夫です」と応じた。だが幹部は「11月7日投開票で動いていたから大変。前倒しは想定外だが、与えられた時間でやるしかない」と打ち明ける。
 初村陣営にはもう一つ懸案が浮上。選対本部長を務める金子原二郎参院議員が農相に就任し、陣頭指揮を執れなくなった。4日夜に地元県議らが対応を協議。本部長代理の前田哲也県議は「それぞれの責任感が増して組織は引き締まった。本部長ポストの取り扱いは県連三役と話し合って決めたい」と取材に答えた。
 2区の自民新人、加藤竜祥氏(41)の島原市の事務所でもスタッフが準備を急いだ。出馬予定だった現職で父の寛治氏(75)が8月末に急きょ引退を表明し、9月中旬、後任に決まった。名前と顔の浸透を図っているさなかの日程前倒しに、陣営幹部は「顔を覚えてもらう時間がさらに少なくなった」と話す。
 4区で出馬予定の立憲民主党新人、末次精一氏(58)の陣営幹部は、候補未定の自民側の準備が整っていないとして「31日投開票で良かった」と前倒しに好意的。3区の立民新人、山田勝彦氏(42)は「総選挙がいつあってもいいように準備してきた」と冷静に受け止めた。
 投票所の準備を担う自治体の選管も困惑を隠せない。長崎市の担当者は「31日投開票となれば、公示の19日まで2週間ほどしかなく、急ピッチどころではないレベルでの調整が必要になる」と話した。

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