【トークイベント報告】マグナム・フォト連携写真展「目撃者の証言」

国境なき医師団(MSF)は、設立50年を迎え、半世紀を振り返る写真展を東京・大阪・名古屋で開催。MSFと同様に人道危機の現場を目撃し、捉えてきた世界的な写真家集団「マグナム・フォト」と連携し、人道危機の経験者や目撃者の写真や言葉を通じて振り返る写真展です。

写真展初日となる10月1日に、写真家の大石芳野さんをゲストに迎え、MSF日本会長の久留宮隆と、東京会場からライブでオンライントークを配信しました。  

© MSF

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写真家として、緊急医療援助団体として、それぞれ人道危機を目撃してきた大石さんと久留宮が、そこで出会った人びととのエピソードや、人びとのために声を上げ、伝え続ける大切さについて話し合いました。

ベトナム、カンボジア、アフガニスタン、コソボなど、40年以上にわたり、戦争など困難な状況下で、傷つけられ苦悩しながらも誇りを持って生きる人びとの姿を取材、撮影されてきた大石さんは、「その人の真髄に近づくことができたか、常に自問している。私たち一人一人は小さい存在だが、小さい小石も集まれば大きな力になる。皆が力を合わせることが大切」と語りました。

久留宮は、「マグナム・フォトの写真を通して、MSFのこれまでの活動を改めて振り返り、再認識することができた。MSFが現地に入り、人びとに寄り添った活動をしていけるのも、皆さま一人一人の善意によって支えられているからです」と感謝を伝えました。

トークイベントの録画は以下より視聴できます。ぜひご覧ください。(再生時間:約60分)

登壇者:写真家 大石 芳野氏 / 国境なき医師団日本 会長 久留宮 隆
司会:国境なき医師団日本 広報部ディレクター 名取 薫 

登壇者プロフィール

写真家大石 芳野氏

東京生まれ。日本大学藝術学部写真学科卒業。学生時代の1966年に訪れた戦争中のベトナムに強い衝撃を受け、卒業後ドキュメンタリー写真家として精力的に世界で取材を行う。戦禍や内乱など困難な状況にありながらも逞しく誇りをもって生きる人びとを捉えてきた。
著作:『沖縄に活きる』『沖縄 若夏の記憶』『HIROSHIMA 半世紀の肖像』『無告の民 カンボジアの証言』『カンボジア苦界転生』 『ベトナム凜と』『夜と霧は今』『子ども戦世のなかで』『<不発弾>と生きる 祈りを織るラオス』『隠岐の国』『黒川能の里』 『福島 FUKUSHIMA 土と生きる』『戦争は終わっても終わらない』『戦禍の記憶』『長崎の痕』他。

1982年写真集『無告の民』で日本写真家協会年度賞、1989年『夜と霧は今』で日本写真家協会年度賞を受賞。2001年『ベトナムと凛と』で土門拳賞受賞。2007年紫綬褒章受賞

ⓒ MSF

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国境なき医師団日本 会長久留宮 隆

MSF日本会長、消化器外科の専門医。
愛知県立旭丘高等学校卒業。1984年、三重大学医学部を卒業後、同年4月より三重大学医学部第一外科入局。三重県を中心に地域中核病院での外科に勤務し、済生会松阪総合病院にて手術室部長を務めるなどした。その後、あいち肝胆膵ホスピタル診療部長、地方独立行政法人桑名東医療センター手術室部長、三重北医療センターいなべ総合病院救急総合診療部長を歴任し、現在、三重県津市の永井病院において救急を担当。
2004年よりMSFの活動に参加。2006 年から2012年、および2017年からMSF日本理事、2018年よりMSF日本副会長を務める。2020 年3月より現職。

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