マイナンバーカードを作るメリットは?取得の仕方や、現状で使える活用方法を解説

国の施策である「キャッシュレス決済」の普及促進に伴って、大々的に進められた「マイナポイント事業」。2021年4月末までのマイナンバーカード申請申し込み(ポイント申請は2021年9月末まで)で終了しました。まだマイナンバーカードを作ってない人は、ポイント還元の終了で作るメリットがなくなった、と思っていませんか?

いま本格的な行政サービスの展開が、いよいよ始まってきたところです。現在時点で、マイナンバーカードを作成すると得られるメリットを整理して解説していきます。


マイナンバーカードの普及状況

当初、普及がなかなか進まない理由として、以下のような意見がありました。

・必要性を感じない
・本人確認書類をすでに持っている
・個人情報漏洩など、怖いイメージがある
・申請手続きが面倒そう

確かに、すでに運転免許証を持っている人であれば、わざわざ身分証明書をもう一枚所持する理由は希薄という意見も頷けます。そんな中、2020年9月からスタートした「マイナポイント還元」の後押しもあって、普及率は徐々に広がっていきました。

では現在、マイナンバーカードはどのくらい普及が進んだのでしょうか。総務省のホームページでは、日本全国およそ1億2,600万人のうち、交付枚数は約4,760万枚。人口に対する普及率は37.6%。東京都に限って言えば、40.5% になっています。
※総務省 [マイナンバーカード交付状況(2021年9月1日時点)

国が考えている、マイナンバーカードの理想的な方針としては、

利便性の向上 …市区町村、税務署、社会保険事務所で、課税証明書などの添付書類が不要となる。
行政の効率化 …書類発行や確認の手間が省ける分、労力を削減することができる。
公正公平な社会の実現 …税金の徴収において、不正防止を図ることができる

マイナンバーカードの普及を前提として、政府はシステムの構築を行っていることから、そもそも普及が進まないことには、本来のサービスが実現しません。つまり促進のために行われた「マイナポイント事業」は、本来のサービス=メリットのためのスタート地点に過ぎません。

マイナンバーカードの取得方法

申請・取得について、簡単におさらいをしておきます。

2015年10月~12月にかけて、「マイナンバー通知カード」が各自宅へ届きました。この通知カードは、あくまでも個人番号が記載されているだけで、「マイナンバーカード」とは別物です。

申請には本人の写真が必要ですが、デジカメやスマホで撮影した画像が使用できるため、自宅のパソコンやスマートフォンからの申請が可能です。申請の後、お住いの市区町村より、おそよ1か月程度で「交付通知書」が到着します。その後、お近くの窓口(市役所や出張所)に受取日の予約を行い、受け取りをします。

マイナンバーカードの取得で気をつけたいポイント

・カードは一人につき1枚の発行
・受取時にパスワードの設定
・0歳でも発行が可能。家族全員分の手続きを一緒にしてしまえば、手間がかからない
・20歳未満の場合は、発行から5回目の誕生日までに更新の手続きを行い、その際に顔写真を更新

マイナンバーカード取得のメリット

現在、マイナンバーカードを持っていることで受けられる代表的なメリット、サービスをまとめました。

■身分証明書になる。

運転免許証を持っていない人や、小さな子供、高齢者は、予期せず身分証明を求められた際、意外と不便ではなかったでしょうか。顔写真が付いていない健康保険証では、追加の書類を求められたり、かといってパスポートを普段から持ち歩いている人も少ないでしょう。顔写真が付いているマイナンバーカードは、便利な身分証明書になります。

■健康保険証として利用可能

2021年3月から試験的に運用、10月から徐々に本格始動をしていきます。これには、いくつものメリットがあります。

・就職、転職、引っ越しをしたとしても、健康保険証として使える
・同意をすれば、初めての医療機関でも、今までに使った薬などの情報が医師と共有できる
・確定申告の医療費控除が簡単に行える
・「限度額適用認定証」が無くても、高額療養費制度における限度額以上の支払いが免除される

ただし、主な注意点は以下の2点。

・事前の利用申し込みが必要。マイナポータルで申請は簡単に行えますので、すぐに済ませておきましょう。※マイナンバーカード申請時に、申込みをしていない場合

・利用できる医療機関は、まだ少ない。
厚生労働省によると、マイナンバーカードを健康保険証として対応している病院・薬局は、2021年9月20日時点で 5,375件。これから徐々に増えていく見込みですので、地元の病院、薬局が対応しているかどうか、調べておくとよいでしょう。

■コンビニで住民票・印鑑証明書の発行

市役所まで足を運ぶことなく、近所のコンビニにあるプリンタで、簡単に住民票や印鑑証明書、戸籍謄本を取得できます。これはとても便利です。

■スマホで確定申告(電子申告)

自身で確定申告を行っている人にとっては、マイナンバーカードが無くても、電子申告(e-TAX)のメリットはとても大きいものでしたが、マイナンバーカードがあれば、税務署に出向くことなく、またパソコンを使わなくても、スマホで確定申告が可能になります。

・本人確認の提出不要
・24時間受付
・税金の還付がスピーディー

さらに、「マイナポータル」(後ほど説明)と連携をすることで、生命保険料控除証明書などの情報を一括で入手できたり、各種証明書情報、控除額が自動計算できるなど、確定申告の手間が減っています。

■その他自治体ごとのサービス拡充

自治体によっては、例えば図書館の「貸出カード」をマイナンバーカードで対応するなど、サービスが拡充しています。また、クレジットカードのポイントやマイルを「自治体ポイント」に変えて利用する場合にもマイナンバーカードが必要です。自治体ポイントは、地域の美術館や交通機関の利用に便利なポイントです。

■旧姓の併記が可能

結婚をして名字が変わっても、旧姓で行った各種契約や銀行口座など、本人確認の資料として利用できます。

マイナンバーカードには、この他にもさまざまなメリットがありますが、「マイナポータル」との活用・併用が便利です。

さらに便利!マイナポータルの活用

マイナンバーカードの取得に合わせて、各種行政の手続きやお知らせの確認がオンラインで利用できるポータルサイトを知っていますか? ますます便利になっていく行政サービスに注目です。

主なサービスの名称と内容

例えば、子育てに関する手続をはじめ、さまざまな申請や届出を地域別に検索し、詳細が確認できる「ぴったりサービス」で行える申請は以下の通りです。
※一部、準備中のサービスも含みます。

現在、ここまで各種の届け出や申請が、マイナンバーを利用してオンラインでできるようになっていて、今後も内容が拡充していく見込みです。


現在、マイナンバーカードの普及率は40%弱。これから普及率が伸びるに従って、行政サービスも拡大されていくでしょう。今まで面倒だった手続きがスムーズになっていきます。マイナンバーカードは、そのための大事なツールになっていくことは間違いありません。申請がまだの人は、ぜひ参考にしてみてください。

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