10月3日、サーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われた2021年MotoGP第13戦アメリカズGP Moto2クラスの決勝で、前戦で怪我をしたロレンツォ・ダラ・ポルタの代役で参戦した長島哲太（Italtrans Racing Team）は7列目21番手グリッドからスタートして今季初レースで16位を獲得した。
長島は2008年から2013年まで全日本ロードレース選手権を経験し、2013年MotoGP第17戦日本GPの際に代役でMoto2クラスに参戦してロードレース世界選手権デビューを果たす。
翌2014年には世界を舞台にしてMoto2クラスでの参戦を開始するが、怪我によりシーズン途中で欠場を余儀なくされる。2015年はCEV Moto2ヨーロッパ選手権へと戦いの舞台を移し、2016年に優勝や表彰台を多数獲得してランキング2位となり、ロードレース世界選手権のMoto2クラスにも2度出場して、日本GPで初ポイントを獲得した。
2017年には、ロードレース世界選手権のMoto2クラスに復帰しTeluru SAG Teamから参戦。2018年はイデミツ・ホンダ・チーム・アジア、2019年はONEXOX TKKR SAG Teamから参戦し、2020年はRed Bull KTM Ajoで戦っていた。
2020年は開幕戦カタールGPでキャリア初優勝を飾り、第2戦スペインGPでも2位表彰台を獲得する活躍を見せた。しかし、その後は成績を伸ばせなかったことで、継続参戦のオプションがあったがKTMに契約解除されてしまい、シートを失うこととなった。
そのため2021年は帰国して、日本国内でHRCの開発ライダーとしてMotoGP、SBK、鈴鹿8耐などのマシンを駆る傍ら若手育成にも取り組んでいた。そして、2022年からは自身のチーム『TN45 with MotoUP Racing Team』を発足させて全日本ロードST600クラスに参入することが9月29日に発表されたばかりだ。
そんななか、第14戦サンマリノGPで転倒を喫した際に以前から痛めていた左肩を強打し、手術が必要となったロレンツォ・ダラ・ポルタの代役ライダーに長島が抜擢された。
急きょアメリカに渡航し、Italtrans Racing TeamからMoto2クラスに参戦した長島は、初日のFP1を25番手、FP2を28番手で終える。2日目のFP3は最後尾の30番手だったが、予選Q1では7番手となり7列目21番手グリッドを獲得した。
「サーキットに戻ってこれてうれしいです。少しずつペースを取り戻して前進しています。まだバイクに慣れるのに苦労していますが、感覚は良く、チームは僕に最善の解決策を提供するために一生懸命取り組んでいます。100％の力でレースに臨みます」と長島。
迎えた決勝はオープニングラップで最後尾までポジションを落とすが、徐々にライバルたちをパスしていく。惜しくもポイント圏内（1～15位）に入れなかったが、16位と健闘した。
今季初レースであり、10カ月ぶりのバトルを「長い間、レースに出場していなかったので、厳しいレースになりました。序盤は苦戦しましたが、数周後には良いフィーリングが得られ、プッシュしてトップグループに迫ることができました」と振り返る。
「終盤はタイヤのマジジメントに苦労して、ポイント圏内に入ることができませんでした。とても楽しかったし、チームと一緒に良い仕事ができたことに満足しています。ありがとうございました」
また、ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで開催される第16戦エミリア・ロマーニャGPは、スケジュールの都合で参戦はできないというが、第17戦アルガルベGP、最終戦の第18戦バレンシアGPにも出場するようだ。
