選挙カーならぬ「選挙船」はOK? 選挙のぶっちゃけ意味不明なルール5選

こんにちは、自称日本一意識低い政治ライターのひがし(@misuzu_higashi)です。

選挙に関するルールは「公職選挙法」という法律で定められているのですが、この法律はぶっちゃけ謎ルールが多いです。

現代の生活が想定されていない古い内容のまま今まで法改正がなされなかったことで、やたらややこしいことになっていたりします。

この記事では、良く言えば選挙の豆知識、悪く言えば意味不明なルールを5つ厳選して紹介します。

これからの衆院選でも、地味~にこれらを守っている候補者を見つけることができるはず!

1:選挙カーでの選挙運動は名前の連呼だけが例外的に許されている

選挙の時期が近くなると通りを走り回る選挙カーに対して、

「選挙カーって何しに来ているの!?」

「名前だけ言われても投票する気になんかならないよ!」

……と、思ったことのある方もきっといらっしゃることでしょう。

しかし、選挙カーの上で選挙運動をすることは原則的に認められていません。

「………」

もう一度言います。

選挙カーの上で選挙運動をすることは原則的に認められていません。

ただし、例外として認められているものがひとつあります。

そうです、名前の連呼です。公職選挙法の該当箇所を読んでみましょう。

第141条の3 何人も、第141条(自動車、船舶及び拡声機の使用)の規定により選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない。ただし、停止した自動車の上において選挙運動のための演説をすること及び第140条の2第1項(連呼行為の禁止)ただし書の規定により自動車の上において選挙運動のための連呼行為をすることは、この限りでない。

ちなみに、「選挙カーが来てくれなかった!あの候補者はやる気がない!」と怒ってしまう有権者の方もおりますので、名前の連呼×選挙カーは一定の効果があるようです。

2:選挙カーにオープンカーは使えないが船は使える

選挙カーに使える車にもルールがあり、なぜかオープンカーは使えません

いずれ選挙に出たいと思っている方で車の購入を検討されている方がおりましたら、オープンカー以外をおすすめします。

トラックの荷台に乗るのもNG。どうやら屋根の有無や開閉できるかどうかが重要なようですが、屋根がなくても船はOKだそうです

公職選挙法第141条の条文には、当たり前のように自動車と船舶が併記されています。

3:ビラは配っていいけどうちわは配ってはいけない

ビラ配りをしている政治家、いますよね。でも、ビラより実用的なものだったらもっと手にとってもらいやすいと思いませんか?――というわけで、とある政治家が自身の選挙区内のお祭りで「うちわ」を配布したことがあったそうです。

ところがこれが国会で議論を呼びました。カニやメロンを配るのがNGなようにうちわの配布もNGなんじゃないかと。要は有権者への寄附にあたるということですね。

結局うちわは議論の結果NG判定になったようなのですが、紙に穴を開けて指を通すとうちわとして使えるうちわ状の何かは「個人のビラ」として承認を受けられたそうです。

4:街頭演説のときに名前を書いた旗を立ててはいけない

選挙運動の見せ場、街頭演説!ぜひ有権者に自分をアピールしたいところです。

名前を知らない人も多いでしょうから、旗に名前を書いて立てました……ということはできません。どうして……。

ちなみに名前入りのタスキもNGです。苦肉の策で生み出されたのが「本人」や「(自分の名前)党」と書かれたタスキ。「本人」と書かれたタスキをかけた候補者がいるのは決してふざけているわけではないのです。

5:選挙事務所でおいしいコーヒーを出すのは法律違反

選挙運動においては、飲食物の提供も禁止されています。まず条文を読んでみましょう。

第139条 何人も、選挙運動に関し、いかなる名義をもつてするを問わず、飲食物(湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子を除く。)を提供することができない。

基本的には禁止、ただし湯茶とそれに伴い通常用いられる程度の菓子はOKです。

例えば、選挙事務所に来てくれた人に対して「粗茶とお茶請けのお菓子です~」と麦茶をコップに注いだものとおせんべいを数枚出すのはOKです。

ただし、せっかく来てくれたからと嬉しくなってブルーマウンテンや玉露を振る舞うのはNG

そんなことを言われるとついどこまで「湯茶」として認められるのかチキンレースをしたくなりますが、こんなところで法律違反になっては大変もったいないので、候補者のみなさんは安全なおもてなしを心がけましょう。

謎ルールが今でも続いているのは、誰もわざわざ変えないから

以上、選挙にまつわる意味不明な謎ルールを5つ紹介しました。

どれも現代にはちょっとそぐわない決まりな気がしますが、これの法律は「意味不明だな~」と言われつつも変わる予定はなさそうです。

国会議員からしてみれば「まぁ謎だけど他の日本の課題のほうを優先したいし後回しでいいや」と思うのかもしれません。

ただ、いち有権者としては、ネット選挙が解禁になったり選挙権が20歳から18歳に引き下げられたりしたように、選挙運動に関する法律も現代に合わせていっても良いんじゃないかなあ……と思ってしまう今日このごろでした。

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