岸田内閣にはネトウヨ極右閣僚もいっぱい!「少女時代」をデマ攻撃した金子総務相、末松文科相、古川法相、女性閣僚の堀内大臣も

金子やすしオフィシャルサイトより

昨日4日におこなわれた初の総理会見で岸田文雄首相が「新時代共創内閣」と命名した新内閣。昨日、本サイトでは岸田首相が自民党改革の柱に「政治とカネ」問題を掲げながら、甘利明幹事長や高市早苗総務会長をはじめ、岸田内閣の面々も多くがカネの疑惑を抱えていることを伝えた(既報参照→https://lite-ra.com/2021/10/post-6039.html)。

だが、岸田内閣の問題はこれだけではない。というのも、菅政権からの「続投・横すべり」組である岸信夫防衛相や茂木敏充外相、萩生田光一経産相といった安倍晋三元首相に近い閣僚たちは言わずもがな、初入閣組も「安倍傀儡政権」と呼ぶに相応しい「ネトウヨ・極右議員」が顔を揃えているからだ。

そのひとり目は、総務大臣となった金子恭之。金子氏は安倍政権下の2013年10月、平井卓也の後任として自民党ネットメディア局長兼自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)代表に就任。これまでもJ-NSC会員を自称するTwitterアカウントが野党やその議員たちをデマを駆使して誹謗したり、民族差別を煽る悪質まとめサイトなどをどんどんリツイート拡散している姿が確認できているが、金子氏はこうした“ネトウヨ部隊の親玉”だったのだ。

そんな役割を金子氏が与えられたのも当然で、金子氏といえば安倍前首相が事務局長を務めた、慰安婦問題や南京大虐殺の記述を教科書から削除することを目的に結成された「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」のメンバーであり、2012年には米ニュージャージー州地元紙に出稿された慰安婦の強制性を否定する意見広告に安倍元首相や高市早苗らとともに賛同者として登場。さらに、日本会議が設立20周年を迎えた際には、〈「国家は自らの手で守るもの」「国際社会では、困った国があれば、お金だけでなく汗を流しても助けること」と勇気ある声を挙げ、政府や世論を後押しされた貴会議の行動は、高く評価されています〉とメッセージを送っている。

また、高市氏をはじめとする選択的夫婦別姓導入に反対する自民党極右議員が今年1月、自民党籍を持つ道府県の議長宛てに選択的夫婦別姓の導入に賛同する意見書を採択しないよう求める文書を送りつけたが、ここにも金子氏は名を連ねていた。

しかも、金子氏はネトウヨの得意技であるデマの拡散をおこなったことも。2011年、大人気を博していた少女時代について、自身のTwitterで〈日本でのコンサートの最後に「独島(韓国で竹島をこう読んでいる)は我が領土」と韓国語で叫んだらしいですよ。韓国恐るべし〉と投稿。だが、日本のコンサートでそのようなことをメンバーが叫んだという話は確認されておらず、コンサートに参加してきたファンも「そんなことはしていない」と反論。現在ではこの投稿は削除されている。

つまり、高市氏につづいて再び「ネトウヨ総務相」が誕生してしまったわけだが、同じように心配なのは、教育行政のトップとなる文科大臣だ。

●末松信介文科相の危険な愛国教育主張、古川禎久法相は創世「日本」元幹部で「THE FACTS」参加

萩生田光一の後任で文科相に抜擢された末松信介もかなりの極右議員と言っていい。

末松氏は、岸田内閣で続投となった岸信夫防衛相らとともに「日本会議国会議員懇談会」の副幹事長に名を連ね(2015年6月時点)、自身のHPでも〈日本の歴史観・国家観を大切にし「世界の中の日本」のあるべき姿を明確にする政治〉を謳い、〈教育基本法を改正し、教師、子ども、親が信頼で結ばれ、公徳心と公共の精神、国を誇りに思う心が自然と身に付く教育の実現をめざす〉と記述している。

それでなくても、菅政権は今年4月に「『従軍慰安婦』または『いわゆる従軍慰安婦』ではなく、単に『慰安婦』という用語を用いることが適切」、戦時中の朝鮮半島出身者の徴用も「強制連行」と表現することを「適切ではない」とする答弁書を閣議決定し、これにより教科書会社5社が記述の変更を訂正申請して萩生田光一・前文科相が承認するという、歴史修正主義に基づいた用語・記述への政府介入が問題となっている最中。そんななかで教育基本法の改正と愛国教育を打ち出す末松氏が文科相に抜擢された事実は、安倍元首相が推進した「教育改悪」路線の推進であることは疑いようもないだろう。

さらに、法務大臣となった古川禎久氏も危険人物だ。

古川氏は総裁選が終わるや否や石破派を退会し、初入閣を果たしたことで注目を集めているが、もともとは安倍元首相に近い議員。現に、安倍氏の肝いりで2005年に設立された「平和を願い真の国益を考え靖国参拝を支持する若手国会議員の会」では事務局長を務めたほか、2007年に櫻井よしこ氏やすぎやまこういち氏らが米紙ワシントン・ポストに出した従軍慰安婦の強制性を否定する意見広告「THE FACTS」にも賛同者として名を連ねた。また、古川氏は安倍氏が下野時代に排外主義や国家主義を押し出した発言を繰り返した極右議員の集合体「創生「日本」」で副幹事長を務めたことも。

もちろん、安倍氏が猛攻撃した外国人参政権や人権擁護法案にも、古川氏は反対派の急先鋒となってきた。本日5日おこなわれた法相就任後初となる会見では、名古屋入管で亡くなったウィシュマ・サンダマリさんの監視カメラ映像の開示について「公開は適当でない」と、さっそく人権意識の欠如ぶりを見せつけたが、この男のもとで「反人権」の入管行政が見直されることはないだろう。

●二之湯智国家公安院長は「子供を持つことが社会人の義務」「子供を産み、育てることが国家への最大の貢献」発言

一方、来年で引退することを表明しているにもかかわらず国家公安委員長として「思い出づくりの初入閣」を果たした二之湯智は、2016年の参院選時におこなわれた毎日新聞のアンケートにおいて、憲法9条について「改正して、自衛隊を他国同様の『国防軍』にすべきだ」と選択。また、同年には自身のブログで〈憲法9条があるから戦争が起こらない、という考え方の方が危ない〉〈自分たちが戦争放棄だと主張しても、近隣諸国には無関係〉〈日本だけが安全保障のために自衛隊を使わないというのは、無責任過ぎる〉と、ネトウヨそっくりの主張を繰り広げた。

だが、二之湯氏の極右ぶりがあらわになったのは、2014年3月に参議院本会議でおこなった代表質問だろう。

二之湯氏はこの代表質問で、少子化問題について「すぐに働く女性のために保育所をつくるといった話になるが、それだけでは足りない」「政府が国民に対して、子どもを産んで育ててほしいとはっきり言うべき段階にきている」と発言。これだけでも十分酷いが、産経新聞の報道によると、この質問のもとの原稿案では「子供を産み、立派に育てることが国家に対する最大の貢献」「結婚しているのに子供を持つことが社会人としての義務だと考えない人たちが増えている」と記述。これを公明党が問題視し、「国家に対する貢献」「子供を持つことが社会人としての義務」の部分を削除・修正したというのだ。

このような発言を、よりにもよって国会で堂々とおこなおうとした人物を入閣させておきながら「こども庁」創設だの女性活躍だの多様性の尊重だのと言っていること自体、どうかしているとしか思えないだろう。

しかし、極右ぶりが目につくのは男性閣僚だけではない。たとえば、数少ない女性閣僚のひとりで、ワクチン・東京五輪担当相となった堀内詔子も、二之湯氏と同様に「日本会議国会議員懇談会」「神道政治連盟国会議員懇談会」のメンバー。堀内氏といえば、「働き方改革関連法案」が強行採決された際、法案に反対する過労死遺族が傍聴していたにもかかわらず、手を挙げて賛成の起立を呼びかける「過労死推進ダンス」を繰り広げて非難を浴びた人物だが、一方、2015年3月におこなわれた厚労委員会では「先の大戦で散華されました御英霊の御霊が安からんことをお祈り申し上げる」などと発言していた。

過労死遺族に対しては平気で思いを逆撫でするような言動に出たのに、戦没者を「英霊」と称して戦争を美化・正当化しようとする……。それもそのはずで、堀内氏は「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」のメンバーなのだ。

また、2017年には堀内氏の地元・山梨で「美しい日本の憲法をつくろう!」と題した櫻井よしこ氏の講演会がおこなわれたが、このとき堀内氏はSNSで〈櫻井よしこ先生を講師にお迎えして「憲法改正を学ぶ講演会」を開催しました。この国を守るため、子どもや孫たちを守るために憲法改正をみんなで真剣に考えていきたいと思います〉と報告。2015年にも〈神道政治連盟結成45周年記念式典に出席しました。櫻井よしこ先生の記念講演では、憲法改正にに向けた櫻井先生の情熱を感じました〉(原文ママ)と投稿している。

女性閣僚はたった3人しか登用されなかったというのに、そのひとりは選択的夫婦別姓に猛反対し、女性差別を生み出している「伝統的家族観」の回帰を訴えている櫻井氏の講演会を開催し、その改憲論に「情熱」を感じている人物だとは……。

すでに岸田内閣は「地味内閣」などとも呼ばれているが、問題は地味なことではなく、このように実態は「ネトウヨ内閣」だということのほう。岸田首相は任期中の憲法改正実現を口にしていたが、後ろに安倍元首相が控えていることはもちろん、この面子での改憲推進は恐ろしいことになるだろう。
(野尻民夫)

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