金子農相 諫干非開門姿勢 開門反対派 歓迎「良かった」、開門派 強硬な態度懸念

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防閉め切り問題について、就任会見で非開門の姿勢を明確にした金子原二郎農相。開門反対派が歓迎する一方、開門派は冷ややかに受け止め警戒感を強めた。
 「良かった」。背後地の安全が脅かされるとして開門に反対してきた諫早湾防災干拓事業推進連絡本部の栗林英雄本部長(87)は声を弾ませた。「2002年の短期開門調査では漁場改善に何の成果もなかった。佐賀県側との対話で解決が早まると期待している」
 中央、小江両干拓地で営農する平成諫早湾干拓土地改良区の山開博俊理事長(73)は「開門したら農業ができない」と強調。「非開門を維持し有明海再生を図ってほしい」と求めた。
 同事業関連では、10年の開門確定判決を巡る請求異議訴訟差し戻し審などが係争中。同差し戻し審で福岡高裁は4月、前提条件なしの和解協議の場を設けることを提示し、国には主体的、積極的関与を強く促したが、国は拒否している。
 開門派弁護団の堀良一事務局長は「従来の国の立場を踏襲した発言。だが、高裁はそれを踏まえて和解協議をしなさいと言っている。そうした裁判所の考えを何ら考慮、検討していない」と切り捨てた。
 金子農相は「佐賀県の意見も聞く」と述べた。その佐賀県の漁業者で、開門確定判決原告の平方宣清さん(68)は「対話というのは山口(祥義)知事のことだろう。開門派漁業者に、これから強硬な態度に出てくるのではと懸念している。知事だけでなく、私たちの声に耳を傾けてほしい」と語気を強めた。

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