エンゼルス・大谷翔平「想定外の進化」に二刀流発案者も仰天

日本ハム時代の大谷(右)と山田GM(東スポWeb)

今季、全米を席巻したエンゼルス・大谷翔平投手(27)の活躍には「二刀流の発案者」も仰天している。

打者としてア・リーグ3位となる46本塁打、8三塁打(同1位)、26二塁打(同43位)、26盗塁(同5位)、96四球(同3位)、100打点(同13位)、103得点(同8位)の堂々たる成績。投手としても23試合(130回1/3)に登板し9勝2敗、防御率3・18と、6年連続プレーオフ進出を逃したチームの中で孤軍奮闘してきた。

日本人プレーヤーとしては2001年のマリナーズ・イチロー以来、2人目となるMVPが確実視されているのだが、これには12年のドラフトでNPB球団への入団を拒否していた大谷を強行指名し「二刀流」の提示で逆転入団を成功させた当時の日本ハムGM、山田正雄スカウト顧問(77)も目を丸くしている。

同顧問は「2度の手術(18年10月にトミー・ジョン手術、19年9月に左ヒザ蓋骨手術)をして体が強くなったみたい。特にウチにいたころから抱えていた左ヒザの手術をして、1年間のリハビリをして不安箇所が消えたことが大きいんじゃないかな」とした上でこう今季の活躍への驚きを語っている。

「予想もつかないようなことをしてくれたね。メジャーでホームラン王争いをするなんて、考えつかない。ピッチャーだって故障なく投げて9勝(2敗)。本当に驚いていますよ。人間として考えられない。僕ら(スカウト)の目がいかに当てにならないかということ。こちらの予想のはるかに上を行っている」

とりわけ二刀流の発案者の一人でもあった山田顧問を圧倒しているのが打者・大谷のパワーと技の高い次元での融合だ。

同顧問は「正直、バッターでここまで行くとは思わなかった。あれだけのパワーでバットを振って、なおかつ(正確に)ミートできるというのはちょっと考えられない。ほとんどステップしない打撃フォームであれだけの打球を打てるのも日本人離れしている。その動力となっているのは大谷だけが持つ全身のバネと体の柔らかさですよ。ヒザの不安がなくなってそれを完璧にコントロールできるようになったんじゃないかな」という。

そして何より、日本ハム時代から変わらぬ大谷の最大の武器は自分で考え、あらゆる状況を突破できる高い思考力だ。

山田顧問は「自分で何でも考えてできるという能力が一番。その上で方向性が間違っていない。成功に最短距離で向かっている。その辺の発想が普通の人とは違う」とメジャー4年目で大きく二刀流を前進させた大谷をたたえた。

「期待は常に超えていくもの」を信条とする大谷が見せてくれた夢は、スペクタクルなストーリーが大好きな米国人はもとより、その発案者たちの想定をも超えて新たな段階に向かおうとしている。

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