メルセデス、スポンサーのイネオスと国際ヨットレース『アメリカズカップ』へ注力。技術責任者アリソンが参加

 メルセデスは国際ヨットレース『アメリカズカップ』に参加するイネオス・ブリタニアへの関与を強めており、このプロジェクトに技術責任者のジェームズ・アリソンを任命した。

 昨年、メルセデスは子会社のアプライド・サイエンスを通じてイネオス・チームUKに協力した。しかしチームはニュージーランドで行われたプラダカップのファイナルでイタリアのルナロッサに敗れたため、プロジェクトリーダーのベン・エインズリー卿はチームとその運営体制を刷新することにした。

 アメリカズカップはしばしば“海上のF1”と呼ばれており、アリソンは新たな任務にまさに適任と言えるだろう。

「コース上に最高のマシンを用意して他のマシンと競わせることと、海上のF1すなわちアメリカズカップとの間には、そう大きな違いはない」とメルセデスF1チーム代表のトト・ウォルフは、メルセデスがイネオス・ブリタニアへの関与を深めることについての発表を受けて語った。

「我々は昨シーズンのかなり遅い時期に徐々にプロジェクトを統合したが、大変気に入った。組織のなかで興奮が高まり、人々がアメリカズカップのことを追いかけるようになり、我々自身のプロジェクトとして競うのを目にすることができた。これからは次回に向けて適切に進めていく」

「我々の姿勢は、願わくば勝利を飾るのに十分なほどに、可能な限り最高の仕事をするというものだ」

メルセデスのスポンサーを務めるイギリスの複合化学メーカー『INEOS(イネオス)』

 イネオス・ブリタニアとメルセデス・アプライド・サイエンスの協力関係により、メルセデスのリソースと専門知識が活用されるだろう。それにはアリソンの膨大かつ有益なクリエイティブエンジニアリングの才能が含まれることになる。

 だが過去数年にわたってメルセデスの優勝マシンの設計を率いたアリソンは、新たな専門分野における自身の仕事を過小評価していない。

「人々はアメリカズカップのことを、海上のF1のようなものだと話している。ほとんどの人は、それが少し流体力学的で、空気力学的で、技術的なようなものだとすぐに考えるだろう」とアリソンは述べた。

「でも実際のところ、私にとってふたつを比較するうえで最も印象的だったのは、それが難しいことだというものだ」

「F1において、我々にとって機能している考え方は、難しいことを認める謙虚さを持つことと、難しいということを思い出すのをやめた途端に競争相手に食い尽くされてしまうと認識することだ。この挑戦は相応に難しいものだよ」

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