西武・辻監督退任、松井稼頭央二軍監督の昇格決定的 3年間の指揮経験で機は熟す

西武・辻発彦監督(62)の今季限りでの退任が濃厚となり、来季から松井稼頭央二軍監督(45)の一軍監督昇格が決定的となっている。

西武は5日のロッテ戦敗退で優勝の可能性が完全消滅、残り15試合でCS出場圏内である3位・楽天との差も9ゲーム、また最下位・日本ハムとの差も1ゲームの低空飛行。5年ぶりのBクラス確定はすぐそこまで迫っている。

2017年の就任から2位、優勝、優勝、3位とAクラスを堅持してきた辻監督にとっては5年目で初のBクラス転落の屈辱は目前で、1年契約の切れる今季終了を待って退任の流れは止められず、松井二軍監督へのバトンタッチはもはや既定路線となっている。

一部にはOBで元ソフトバンク監督の秋山幸二氏(59)の名も取りざたされている。だが、いずれ指揮を任せる松井監督への「つなぎ」に大物OBに単年契約を提示することは考えづらく、19年から3年間、二軍監督として将来の戦力を把握した松井監督へのスイッチは九分九厘間違いのないところだ。

03年オフに当時の球団フロントの慰留を断りFAで大リーグ・メッツへと移籍した松井二軍監督は10年オフに楽天と契約し、8年ぶりにNPB復帰。以来、05年に創設された新興球団の幹部候補としてプレーを続けていた。

そんな同監督が選手として晩年を迎えた17年オフに楽天のコーチ就任要請を断り15年ぶりに西武への復帰を決断した裏には「ライオンズに帰ってきてほしい」という渡辺久信GM(56=当時シニアディレクター)の歴史的和解構想があったからだ。

それまで西武球団内にあった「FAで出て行った人間には二度と敷居をまたがせない」という古い慣習を改め、その後も続いた豊田、和田、細川、中島、片岡、涌井らFA移籍組や松坂、森慎二らポスティング移籍組が一度チームを出たとしても、帰ってきやすいサイクルを作ったキッカケとなったのが松井二軍監督の帰還作業だった。

また、渡辺GM自身が3年間の二軍監督経験を経て08年に一軍監督に就任している経験から見てもこれ以上、松井二軍監督をファームに〝塩漬け〟にしておくことは考えづらく、満を持しての一軍監督昇格となりそうだ。

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