自民党総裁選が終わり、10月4日の臨時国会で岸田文雄氏が新しい総理大臣に選出されました。
岸田首相は10月4日夜の記者会見で10月14日に衆議院を解散し、衆院選は10月19日公示、31日投開票のスケジュールで行う方針を表明しています。衆議院議員の任期は10月21日までなので、衆議院を解散するとしても、しないとしても、まもなく衆議院議員総選挙が行われます。
では、総理が「解散」を選択した場合、解散からは何日間で選挙が行われるのでしょうか?憲法および法律で決められた流れを解説します。
【前提】衆議院の「解散」について
国会には衆議院と参議院があります。衆議院と参議院の大きな違いは「解散できるかどうか」です。参議院に解散がないのに対し、衆議院は解散が可能です。
衆議院議員の任期は4年と定められています。しかし実際には任期満了を迎えることはめずらしく、任期中に解散されることがほとんどです。
歴史を遡っても日本国憲法下において、任期満了で総選挙が行われたのは1976年の1度だけ。
多くの場合、衆議院は任期満了を迎える前に解散されていることがわかります。
衆議院を解散すると、全ての衆議院議員がその地位を失い、衆院選後に召集される国会の際に内閣も総辞職することになります。
これは、内閣を作る流れが
①衆議院を含む国会が内閣総理大臣を指名
②内閣総理大臣が内閣を作る
というようになっているためです。
つまり、衆議院を解散することで、衆議院議員のリセットを行うだけではなく、日本の行政を司る内閣を一新することにもなるのです。
では、衆議院の解散は誰が決めるのでしょうか。
日本国憲法第7条3号には、衆議院の解散は、内閣の助言と承認により天皇が行う国事行為のひとつと定められています。
天皇が行う国事行為と言っても、実施するには内閣の助言と承認が必要であることから、事実上内閣のトップである内閣総理大臣が衆議院を解散する権限をもつという法解釈が一般的です。
【本題】衆院選が行われるのは「解散から40日以内」
それでは、解散後はどのような流れで選挙が行われるのでしょうか。
衆議院の解散が行われると、すべての衆議院議員が議員としての資格を失います。
衆議院議員を選び直すために行われるのが衆議院議員総選挙(以下、総選挙)です。
公職選挙法第31条3項では、解散から40日以内に総選挙を行うことが定められています。
総選挙で私たちが選ぶ衆議院議員は、内閣総理大臣を指名する立場にある人たちです。
つまり、総選挙で衆議院議員を選ぶことは、内閣総理大臣を選ぶことにもつながっているのです。
総選挙は日本のリーダーを決めるための、非常に重要な選挙といえるでしょう。
公職選挙法第31条4項では「総選挙の期日は、少なくとも12日前には公示しなければならない」と定められています。
このように解散後の日程は、非常に細かく決められているため、解散が行われるとすぐに選挙に向けての準備が始まるのです。
ちなみに、衆議院議員の任期満了の直前に解散・総選挙が行われた場合、投開票日が任期満了日を過ぎてしまうこともあります。
2021年の場合、自民党総裁選の実施や臨時国会が開かれていたため、総選挙の投開票日が任期満了日の10月21日以降になる見通しです。
解散前から衆院選の準備は始まっている!?
衆議院は突然解散されることもあります。
そのような場合、選挙の準備がかなり慌ただしいものになります。
一方、2021年の衆院選はある程度の時期の予測ができたため、各政党や政治団体等は着々と選挙の準備に入っているようです。
選挙ドットコムの衆院選特設サイトからは、立候補が予想される顔ぶれを見ることができますので、総選挙の投票先を決める参考にしてくださいね。
【まとめ】解散から総選挙実施までの流れ
衆議院の解散から総選挙までは、日程が立て込みます。解散から40日以内に総選挙を行うこと、選挙の12日前には公示を行わなければならないことが決められています。
2021年は任期満了直前に自民党総裁選が行われたため、日本国憲法下で初めての任期超えで行われる総選挙となりそうです。
今後も選挙ドットコムは、衆院選2021についてのコラムや情報を発信していくのでぜひご覧ください。
(執筆協力:Ricca)