フロンターレが地域防災アシスト 地元商店街に非常用電源設置 2年前の台風被害教訓

シガーソケットやUSBポートを備えたモバイルバッテリー

 サッカーJ1の川崎フロンターレがスポンサー企業と連携し、地域の防災体制強化に一役買っている。川崎市中原区内の商店街にこのほど、災害時の非常用電源となる大容量モバイルバッテリーを設置。今後は全市への普及を目指しており、クラブの担当者は「川崎がより魅力的な町になり、みんなで災害に備えていけるように関係性を深めていければ」と話している。

 9月1日の「防災の日」に合わせ、区内5地区(大戸、小杉、丸子、玉川、住吉)の商店街に導入したのは、クラブとモバイルバッテリー製造企業「アンカー・ジャパン」(東京都)が企画販売する製品。ノートパソコンやスマートフォンなど最大で8台同時の充給電が可能で、フロンターレの主催試合でも使用している。

 クラブは一昨年10月の台風19号による浸水、停電被害をきっかけに、災害時の設備確保の必要性を再認識。川崎市とWiーFi(無線LAN)環境や非常用電源の整備に向けた協定を結んでいるアンカー・ジャパンと、地域のSDGs(持続可能な開発目標)推進に力を入れる川崎信用金庫(川崎市川崎区)の協力で今回の取り組みが実現した。

 Jリーグ観戦者調査の地域貢献度で、フロンターレは2010年から10年連続で1位をキープしている。非常用電源は商店街の催事でも活用していく予定で、中原区商店街連合会の柳沢正高会長は「備えあれば憂いなし。災害時には水と電源が一番必要だと痛感しているので、全市にくまなく行き渡ってくれれば」と期待する。

 クラブの担当者は「ゆくゆくは川崎市全体で被災時の電源確保を強化するためにこの活動を広めていきたい」と話している。

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