ソフトバンクが5連敗で自力CS消滅 工藤監督「一歩後退ではなく二歩後退」

工藤監督(左)とマルティネス(東スポWeb)

王者のプライドが傷つく敗戦となった。ソフトバンクは6日の楽天戦(ペイペイ)に0―5の零封負け。3位楽天とのゲーム差が「4」に拡大して、自力でのCS進出の可能性が消滅した。引き分けを挟んでドロ沼の5連敗。5年連続日本一を目指す鷹が、窮地に追い込まれた。

チーム勝ち頭のニック・マルティネス投手(31)が崖っぷちのチームを救うべくマウンドに上がったが、勝利を呼び込むことはできなかった。0―1で迎えた7回二死一、二塁。今季、自身最多となる123球目は、無情にも右中間へ弾き返された。終盤に重い2点を追加され、ベンチへ下がった右腕は悔しそうに汗を拭った。7回途中3失点。16試合連続となるクオリティースタート(先発6回以上、自責点3以下)を達成したが、10勝目はついてこなかった。

打線にあと一本が出なかった。今季、幾度となく見てきた光景。この日の極めつきは4回の攻撃だった。一死満塁からリチャードが空振り三振、甲斐が右飛に倒れ、無得点に終わるとベンチに重たい空気が充満した。キャリア最多タイとなる11三振を奪ってチームを鼓舞したマルティネスを見殺しにする試合だった。

この1週間、工藤監督は千賀を中4日で先発に立てるなど〝禁断の策〟を繰り出してきた。捨て身の策を講じてでも光明を見出さなければならない瀬戸際に追い詰められていたからだ。この日も最後まで逆転勝利を信じてタクトを振った。3点ビハインドの8回にはモイネロを投入。だが、奇跡は起こらなかった。

絶対に落とせなかったゲームで、歯車がかみ合わない今季の戦いを象徴するような完敗。工藤監督は試合後「1敗というのは一歩後退ではなく、勝つと負けるでは2ゲーム違うので、二歩後退だと思っている」と受け止めた上で「後退した分は試合の中で勝っていくしかない。僕らは勝っていく中でCSが見えてくるのか、ということなんで。明日もゲームが続くんで、下がった分だけ前に進んでいきたい」と顔を上げた。129試合を終わって借金3の4位。受け入れがたい現実が、王者の目の前にある。

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