「スガモ消滅」!? 謎解きゲームでコロナ禍の商店街を応援

新型コロナウイルスの影響を受けた多くの企業や街に復活してもらおうと、後押しする動きが出てきています。

<台東区が販路拡大を後押し 観光関連の商談会>

東京・台東区役所で10月6日に行われたのは、JR東日本をはじめとした観光関連企業との商談会です。コロナ禍で苦しんだ企業に新たな販路を拡大してもらおうと台東区が主催したもので、区内の企業42社が参加しました。会場ではセミナーや個別の商談が行われ、新たなビジネスを実現しようと熱心に話を聞く様子が見られました。参加した人は「突然電話をしてもどの人が担当者なのか、どの人と話せばスムーズに話が進むのか分からないので、担当者とつないでもらえるのは大変ありがたい」(人力車の会社)、「コロナは仕方がない。起こっている事実としてネガティブに考えず、今を準備期間として企業と連携しつつ準備して、明けたタイミングに向けて頑張っていきたい」(ホテル運営会社)などと話していました。

<コロナで客激減の商店街 大学生がゲームで活性化>

豊島区の商店街でも復活を目指そうと「おばあちゃん・おじいちゃんの原宿」といわれる巣鴨地蔵通り商店街で新しい試みが始まりました。

スマートフォンを使った謎解きゲーム「スガモ消滅」は、巣鴨地蔵通り商店街を中心に10月1日から始まった取り組みです。新型コロナの影響で訪れる人が減った商店街を活性化させようと、西巣鴨にキャンパスがある大正大学が企画し、豊島区と謎解きイベントを制作する民間企業との「産官学連携プロジェクト」として実施しているものです。謎解きゲームにはAR=拡張現実を使っていて、参加者はスマートフォンに表示されるヒントを元に、商店街の店舗に仕掛けられたチェックポイントでアイテムを探し、謎を解いていきます。

ただ、高齢者が多く訪れるエリアでなぜ、ARを使った謎解きゲームを作ったのでしょうか。これについてゲームを企画した大正大学の窪田望招聘教授は「街の課題を尋ねたところ、商店街の理事長から『巣鴨は"おじいちゃんおばあちゃんの原宿”というイメージがあり、若い人たちになかなか来てもらえないという難しさを感じている』という率直な意見をもらった」と話し、若い人に街に来てもらう1つの仕掛けが、非接触型で密を避けながら楽しめる「AR謎解きゲーム」の制作だったといいます。

大正大学はもともと「地元・巣鴨が全て学びの場である」との考えから、商店街の中に学生らが運営するカフェを設置するなど、商店街を通して地域とつながってきました。その一環として大学生およそ30人を募り、7月からプロジェクトを発足させました。学生たちは自ら商店街を回り、ゲームで使用する場所の交渉も行いました。また、ゲーム内のドラマにも出演し、商店街の魅力を詰め込みました。

イベント開始まであと3日と迫った9月末、学生たちは完成したゲームの説明のため、再び商店街を訪れました。プロジェクトに参加した文学部2年の渡辺朱里さんは、ゲームの制作を通して地域の魅力に気付くことができたと話します。また、実際にゲームに参加した人からは「巣鴨の商店街に来たことがなかったが、昔ながらの店を守るだけでなく、新しいおしゃれな店もあった」「いろいろな文化がまざり合っていて、面白かった」といった声も聞かれ、新たな発見があったようです。

巣鴨地蔵通り商店街の松宮秀明理事長は「若い人にぜひ来てくださいという店も増え、実際に来てくれる人も増えて大変ありがたい。大歓迎」と話し、学生たちが作った企画に期待を寄せています。「謎解きゲーム」の参加は無料で、10月31日まで開催されています。

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