「夢のような時間だった」 車いすバスケ男子MVP 鳥海連志が思い語る

オンライン取材で東京パラの銀メダルを掲げて笑顔を見せる鳥海

 東京パラリンピックで車いすバスケットボール日本男子史上初の銀メダル獲得に貢献した長崎市出身の鳥海連志(WOWOW)。攻守にわたる目覚ましい活躍で、国際車いすバスケットボール連盟から大会MVPに選出された。大崎高3年生で初出場した2016年リオデジャネイロ・パラ前後から、東京大会を見据えて言い続けた「スタメンになる」「オールラウンダーを目指す」「メダルを取る」という目標を成し遂げた22歳。自国パラの感想や今後の抱負などを語ってもらった。

 -東京パラの結果をどう受け止めているか。
 (リオ後の)5年間つくり上げてきたことが、ようやく結果として出せて何より良かったし、ホッとしている。夢のような時間だった。

 -自身にとってどんな舞台になったか。
 僕たちはこの大会で「歴史を変える」「歴史をつくる」と言い続けてきた。銀メダルを取れて「歴史をつくれた」と思いながらも、スタート地点に立った気分。ここからどれだけ強豪として世界に根付いていけるか。

 -注目度が一気に上がった。インスタグラムのフォロワー数は大会前の約1600人から10月1日現在で約5万人に。
 日本代表のプレーに関しては想定内だったけれど、自分の反響に関しては、こんなにいただくとは思っていなかった。

 -髪形の変化に注目している人もいる。大会中も散髪したようだが。
 髪形をいろいろと変えるのは好き。東京パラの時は1次リーグが終わって、選手村で髪を切った。ずっと自分の部屋にいても何だし、気持ちのリフレッシュがてらに。

 -MVPについて。
 世界で認めてもらい、1人しか受賞できないところに選出してもらえたのは光栄なこと。僕にいろんな役割を任せてくれた分、自由に動けたところもあるので、チームとして誇らしい。僕だけの個人賞というよりは、チームで僕が代表していただいたと捉えている。

 -最も印象に残っている試合は。
 準決勝の英国戦。目標としてきた「ファイナル4(準決勝以上)で1勝」を現実にできたし、試合の中で走り勝っていくのを実感しながらプレーできた。「ディフェンスで世界に勝つ」「トランジションでバスケットしていく」というところを、まさにチーム一体で表現できた試合だった。

 -収穫や課題は。
 収穫はリオから車いすの高さを上げていろいろとトレーニングをしてきた分、ゴール下からアウトサイドまでファイトできるエリアが広がったこと。リバウンドも含めて攻守両面での利点が見えた。課題はシュート精度。そこにこだわって、確率を上げていきたい。

 -日本代表の今後の活動について。
 来年はU23とA代表の世界選手権がある。まずはU23が先にあるので、いいチームをつくっていきたい。A代表に関しては、スタッフがどうなるか、先輩たちもどれだけ残ってくれるのか未定。見えない部分はあるけれど、強い日本を引き継いでいくことは、やらないといけない。

 -海外挑戦は。
 コロナ禍と二つの世界選手権に向けての予選や代表合宿がかなり入ってくるので、今年はやめておいて、来年から動いていく予定。

 -地元の人たちへの思いを。
 家族や仲間など、これまでいろんな形で支えてもらった人たちにメダルを見せられたことは、かなりうれしい出来事だった。ここから、世界でよりハイレベルな選手になっていけるかが肝になってくると思うので、また応援していただけたら…というか、周りの人も巻き込んで、長崎全体が盛り上がってほしいなと思う。「一緒に戦いましょう」というニュアンスで、今後も見守っていただけたらありがたい。


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