「没後40年 映画監督 五所平之助」国立映画アーカイブ上映企画!

国立映画アーカイブでは、 日本映画史に大きな足跡を残した五所平之助の没後40年を記念して、 10月19日(土)より約5週間にわたり大回顧上映を開催。 五所平之助(1902-1981)は、 1925年に松竹蒲田で監督デビューし、 ホームドラマを多作して島津保次郎、 牛原虚彦、 小津安二郎らとともに“蒲田調”を確立して活躍し、 日本初の本格的トーキー作品『マダムと女房』(1931)を成功させた。 戦後は東宝で『今ひとたびの』(1947)をヒットさせ、 自ら興したスタヂオ・エイト・プロによる『煙突の見える場所』(1953)はベルリン国際映画祭でも高く評価され、 その後も歌舞伎座プロや松竹などにて女性映画の秀作を作り続けた。 日常の細やかな描写を通して感情を掬いあげ、 人生の矛盾や葛藤を見つめた抒情性あふれる名作を数多く残している。 さらに普段の情景に潜んでいる極限的なエモーションを捉えることにも挑んだ。 本特集では、 旧フィルムセンターでの1974年の回顧特集の後に収蔵した作品も含め、 戦前・戦中期の貴重な現存作品から晩年の意欲作まで、 厳選した監督作36本および五所の姿をとらえた3本(計33プログラム)を上映。貴重な戦前・戦中期作品も含め、 戦後や晩年の意欲作まで、 33プログラムによる大回顧上映 現存する最古の作品『マダムと女房』(1931)はじめ、 遺作『わが街三島 1977年の証言』(1977)や、 代表作『煙突の見える場所』(1953)、 その他にもソフトや配信では見られない貴重な作品も上映。 バラエティ豊かな名匠の作風を堪能しよう。

▶戦前の小市民喜劇や下町を舞台にした人情劇

『マダムと女房』(1931)『朧夜の女』(1936)『花籠の歌』(1937)など、 時代風俗を背景に人情を描いた名作

▶戦後、 様々な人生の機微を綴った抒情的ドラマ

『わかれ雲』(1951)『煙突の見える場所』(1953)『大阪の宿』(1954)など、 人々の悲喜こもごもを綴った代表的作品群

▶複雑な愛憎を掘り下げた見応えある文芸メロドラマ

井上靖原作による愛の三部作『わが愛』(1960)『白い牙』(1960)『猟銃』(1961)など、 円熟期の作品

▶情念のダークサイドを描いた異色作

『愛と死の谷間』(1954)『雲がちぎれる時』(1961)『恐山の女』(1965)など、 情念に翻弄される男女を描いた作品 女性映画の名手として、 田中絹代、 久我美子、 有馬稲子、 倍賞千恵子といった女優たちを育て輝かせた 五所平之助監督は女優の演出に長け、 田中絹代をトーキー時代のスターとしても輝かせた『マダムと女房』(1931)や中年期の名篇『煙突の見える場所』(1953)、 久我美子の魅力を引き出した『挽歌』(1957)、 有馬稲子がひたむきな女性像を好演した『わが愛』(1960)、 倍賞千恵子がフレッシュな『雲がちぎれる時』(1961)など、 多くの女優たちを磨き輝かせた。 日本初の本格的トーキー作品『マダムと女房』(1931)はじめ、 川端康成の同名小説を初めて映画化した『戀の花咲く 伊豆の踊子』(1933)、 戦後復興期に本格的メロドラマとして大ヒットした『今ひとたびの』(1947)、 そして、 ベルリン映画祭で高く評価されて黒澤明『羅生門』(1950)溝口健二『雨月物語』(1953)などと並んで日本映画の国際的評価を高めた『煙突の見える場所』(1953)など、 日本映画史に重要な功績を残しています。 戦後に独立プロ「スタヂオ・エイト・プロ」を立ち上げ、 自由な製作活動に取り組む監督の先駆けの一人となった。 また、 助監督であった渋谷実はじめ多くの後進映画人たちを育てるなど日本映画界に大きな影響を与えている。

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