JR東日本 東海道線「村岡新駅」を徹底予想!ダイヤは?今後の課題は?

JR東海道本線大船~藤沢駅間(神奈川県藤沢市村岡地区)に設置が予定されている、村岡新駅(仮称)。今年の2月8日に、神奈川県、藤沢市、鎌倉市、東日本旅客鉄道の4者が覚書を締結し、村岡新駅を設置することで合意した。早ければ2032年頃にも開業する見通しとなっている。

本記事では、村岡新駅(以下、「新駅」という。)について、これまでに判明している情報や推測される情報を整理しつつ、私が考える案(JR根岸線の新駅停車)についても述べていく。

乗り入れ路線・種別・ダイヤはどうなるのか(予想)

県のウェブサイトに記載されている新駅の完成イメージ図から、島式1面2線のホームを有し、(旅客案内上の)JR東海道線が停車すると推測される。2021年3月13日改正時点でのダイヤを元に考えると、二つ隣に位置する辻堂駅と同様に、普通・快速列車と、特急「湘南」の一部(旅客線経由)が停車することになるだろう(表1参照)。

新駅開業を直接の理由とする、ダイヤの大幅な変更はないと思われるが、新駅に停車する電車については、所要時分が1分程度増加すると考えられる。

表1 村岡新駅と辻堂駅の比較

新規開業の課題

村岡新駅は、大船駅から約2.6キロ、藤沢駅から約2.0キロ離れた位置に設置される予定となっている。この距離は、JR東日本管内の東海道線(東京~熱海,104.6キロ)駅間平均距離(約5.23キロ)と比較しても半分以下であり、東京~新橋駅間(約1.9キロ)や、小田原~早川駅間(約2.1キロ)に並ぶ短さとなっている(表2参照)。

表2 JR東海道線(東京~熱海)のうち、駅間距離が短い区間(村岡新駅含む)

東海道線は一部区間を並走している横須賀線や京浜東北線と比較しても駅数が少なく、駅間平均距離が長いことから、中距離輸送や速達性を重視した路線であるといえる。

表3 駅間平均距離を比較

表4 日中上り普通,各駅停車の表定速度を比較

上記の内容を整理すると、東海道線村岡新駅が開業することによって、以下に挙げる課題が生じると考えられる。

・村岡新駅停車により、藤沢以西からの都心方面への所要時間が増加する

・ラッシュ時の、東海道線の車内混雑が悪化する恐れがある

乗り入れ路線・種別・ダイヤをどうするのか(著者案)

上記2つの課題を解決するために、「根岸線の村岡新駅停車ならびに藤沢延伸の実施(東海道線の新駅通過)」を提案したい。まずはこの案の利点・不利点と考えられるものについて整理する。

【利点】

・新駅には根岸線のみが停車するため、東海道線の速達性を維持できる

・根岸線を藤沢まで延伸することによって、藤沢駅構内や東海道線の混雑緩和につながる

【不利点】

・東海道線を利用する場合など、隣駅で乗り換えなければならないことが多い

・配線の変更などを行わなければならず、追加の工期、費用が発生する可能性がある

次に、根岸線が新駅に停車した際のダイヤを検討するが、その前に、根岸線の現行ダイヤについて見ていく。下記表5のように、日中は10分間隔で運行しており、大船駅での折り返し時間は7分となっている。

表5 日中の根岸線ダイヤ(現行ダイヤ,新杉田~大船)

このことを踏まえて、根岸線を新駅に停車させる際のダイヤを想定していく。藤沢駅での折り返しが可能であると仮定し、藤沢駅での折り返し時間は現行ダイヤと同様に7分とする。大船~村岡新駅、村岡新駅~藤沢の所要時分はそれぞれ3分と仮定した。

表6 日中の根岸線ダイヤ(著者案,新杉田~藤沢)

南行(大船方面)の時刻を現行ダイヤより1分繰り上げることで、北行(大宮方面)の時刻が現行ダイヤより1分繰り下がることになり、現行ダイヤへの影響を最小限に抑えることができた。

根岸線が新駅に乗り入れるためには

根岸線の新駅乗り入れ案を実現するための方法を検討していく。以下の2案を提示する。

案1: 根岸線~東海道貨物線の連絡線を利用する

大船~本郷台駅間にある連絡線を利用し、東海道貨物線上に大船駅、村岡新駅のホームを設ける。藤沢駅1・2番線に折り返し設備を設けるか、平塚駅1番線を利用して折り返す。

案2: 東海道線(旅客線)に乗り入れる

現状では根岸線から東海道線(旅客線)に乗り入れることはできないが、大船駅周辺の配線を変更し、乗り入れられるようにする。旅客線は本数が多く、藤沢駅3・4番線で折り返すことは困難であると考えられるため、平塚駅で折り返す。

上記の案はあくまでも机上の空論であり、実現には様々な困難が伴うだろう(貨物列車とのダイヤ調整をどうするか、貨物線上にホームは設置可能かなど)。しかし、このような考察を行うことによって、思いがけない気づきや新たな発見を得られるのではないだろうか。

さいごに

ここまで、村岡新駅についての考察を行ってきたが、実際に開業するのは10年以上先のことである。新駅周辺の開発計画など、今後発表される情報を注視していきたい。

出典・参考資料

・村岡新駅(仮称)の設置について – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)

(2021年9月21日閲覧)

・構想30年以上、湘南に新駅誕生へ…新たな「街づくり」への期待も膨らむ : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

(2021年9月21日閲覧)

・東海道線の大船―藤沢に新駅 2032年にも開業: 日本経済新聞 (nikkei.com)

(2021年9月21日閲覧)

・各駅の乗車人員 2019年度 ベスト100:JR東日本 (jreast.co.jp)

(2021年9月22日閲覧)

・東海道本線(東京~熱海) – 配線略図.net (haisenryakuzu.net)

(2021年9月23日閲覧)

【著者】横浜国立大学鉄道旅行研究会

1958年に設立されてこの方、「鉄道」と「旅行」の両輪で活動。 日々の旅行以外にも大学祭における模型展示や会誌発行など、多彩に取り組む。

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