甘利明幹事長に新たに「闇パーティ」広告塔疑惑が浮上! 違法の疑いがある例の“政治献金あっせん団体”が仕切ったパーティで…

甘利明 Official Webより

各社世論調査で支持率がいずれも6割に届かない結果となった岸田文雄内閣。共同通信の結果(支持率55.7%)で見ると、2001年以降でもっとも低かった2008年の麻生太郎内閣発足時に次ぐ低さとなっているが、その原因と見られているのが、甘利明を幹事長に据えた人事の影響だ。

実際、内閣支持率が5割を切って49%となった毎日新聞の調査では、「政治とカネ」の説明責任が問われる甘利氏の幹事長起用を「評価しない」と答えた人は54%にものぼっている。

当然だ。本サイトでもいち早く指摘したように、甘利幹事長といえば経済再生担当相だった2016年、千葉県の建設会社・薩摩興業の依頼で都市再生機構(UR)へ移転補償金の値上げを“口利き”した見返りに、少なくとも総額1200万円の現金や飲食接待の賄賂を受けとっていたと「週刊文春」(文藝春秋)がスクープ。この報道を受けて甘利氏は大臣を辞任したが、辞任会見では涙を浮かべて「政治家としての美学」などと辞任を美化しようとする浅ましさを見せた挙げ句、その後は「睡眠障害」を理由に約4カ月にわたって国会を欠席。その後おこなわれた会見はたったの約10分で終了する始末だった。

にもかかわらず、10月1日の就任会見で甘利幹事長は「この事件にかんして事情をまったく知らされていない」「私は寝耳に水」と言い出したのだ。

だが、この甘利氏の抗弁にさっそく「週刊文春」が反撃を加えた。本日発売の同誌では、2016年に甘利氏への現金提供などを実名告発した薩摩興業の元総務担当者・一色武氏の証言などを振り返り、2013年11月14日に甘利氏が大臣室で50万円を受け取った際の詳細、さらに2014年2月1日に神奈川県大和市にある地元事務所で甘利氏に50万円を渡した際には、甘利氏がURとのトラブルについての資料に目を通し、直接、その場で秘書に指示を出していたことも伝えた。つまり、「私は寝耳に水」などという抗弁は大嘘であることをあらためて突きつけたのだ。

また、甘利幹事長は就任会見で「特捜OBの弁護士に依頼し、それを基に、辞任会見で質問が出尽くすまでお答えをした。調査結果は会見のときに文書もお渡しした」などとも語ったが、これらについても同誌記事では〈挙手をした小誌記者が質問に当たることはなく、「後の日程もありますので、この辺で」と会見を打ち切っていた〉〈今に至るまで、調査報告書を公表していない。特捜OBが誰なのかすらも一切明かしていない〉と指摘。何から何まで嘘まみれであったことを伝えている。

このようにすぐにバレる嘘をつき、いまなお国民を欺きつづける甘利幹事長。しかも、甘利幹事長の疑惑はこれだけに終わらない。甘利氏の新たな「政治とカネ」の問題を、今度は「しんぶん赤旗 日曜版」がスクープしたからだ。

それは、甘利幹事長が政治資金規正法違反で告発されたばかりの「闇パーティ」の広告塔になっていた、という問題だ。

●会費月10万円で、麻生太郎、菅義偉、加藤勝信、小泉進次郎らの秘密勉強会を開いていた志友会という団体

「しんぶん赤旗 日曜版」は今年3月、自民党所属の薗浦健太郎・衆院議員が安倍晋三・元首相の首相補佐官を務めていた2019年4月3日に、東京都内で「そのうら健太郎と未来を語る会」と題した政治資金パーティを開催しながら、関連政治団体の政治資金収支報告書には当該パーティの開催や収支にかんする記載がない「闇パーティ」の疑いがあることを指摘。この問題について、上脇博之・神戸学院大学教授が政治資金規正法違反(不記載)の疑いで9月28日に東京地検に告発をおこなったのだ。

そして、この「闇パーティ」の目玉は、当時、自民党の選挙対策委員長を務めていた甘利氏による講演会だったのだ。

甘利氏がもし違法の「闇パーティ」であることを知った上で“客寄せパンダ”として参加していたとすれば、それだけで重大事だ。しかし、じつはこの問題はさらに重大な問題をはらんでいる。

というのも、この「闇パーティ」の開催と金集めに協力していたのが、「有力政治家たちの集金マシーン」「政官財をつなぐ癒着ビジネス」と指摘されてきた団体だからだ。

その団体は、「情報、人脈、人材を共有する経営者の会」と言われている「志友会」なる団体で、経営コンサルタント会社のライズ・ジャパンが運営。中小企業の経営者らを対象に、“秘密”の「勉強会」を、コロナ以前には月1〜2回も開催していたという。だが、驚くのはその費用。会費は月10万円を一口以上と高額で、さらに勉強会は主に1万2000円の参加費が必要だという。つまり、会費だけでも1年で最低でも120万円もかかるのである。

もちろん、それほどの金を会員が支払うのは、勉強会に講師として登場するのが政権幹部や現職の事務次官といった高級官僚などだったからだ。「志友会」の資料によると、2017年以降、官房長官時代の菅義偉・前首相が2回、厚労相などを務めた加藤勝信・前官房長官が3回、麻生太郎・自民党副総裁が2回、小泉進次郎・前環境相が自民党厚労部会長時代から3回も講師を務めていたというのだ。

この志友会の存在について報じた「しんぶん赤旗 日曜版」3月3日号では、元会員が「月10万円は高いが、すごい人とお近づきになれる」と語っているが、こうした錚々たる政権幹部と直接、名刺交換や写真撮影ができるとなれば、会員が集まるのも当然なのだろう。実際、菅氏や麻生氏、加藤氏といった菅政権幹部が「志友会」会員たちと一緒に写った写真も掲載されていた。

さらに、この勉強会を運営してきたライズ・ジャパンの売り上げは、2015年度9月期は6億円だったにもかかわらず、2019年9月期には11億円と、わずか4年で2倍近くにまで急成長。会員も460社から850社前後まで増加しているという。

まさしく、政権幹部が「広告塔」となり、業績を伸ばしてきたライズ・ジャパン。そして、このように名だたる政権幹部が「勉強会」で講師を務めてきたのは、「志友会」での結びつきから政治家側が多額の献金を受け取ってきたためだ。

たとえば、小泉前環境相は2017年、2018年、2019年に3回、勉強会の講師を務めているが、ライズ・ジャパンの仲井力社長は2017年から2019年のあいだに、小泉前環境相の資金管理団体や政党支部に対して個人や会社名義で計550万円も献金している。だが、それだけではなく、ライズ・ジャパンは会員たちに対して、小泉前環境相の政治資金パーティの案内メールを送付。「会員の出欠の取りまとめにつきましては弊社にて行います」と伝えていた。つまり、実質的に献金の集金役を担ってきたのだ。

政治資金規正法では、パーティ券代金を集金するなどの「あっせん者」がおり、あっせん額が20万円を超えた場合には、そのあっせん者の氏名や金額などの報告を義務づけている。しかし、ライズ・ジャパンは〈自らは集金せず、議員事務所の口座番号を会員に伝えて振り込ませる〉というかたちをとり、網の目を潜っているのだ。

●〈自民党選挙対策委員長 甘利明様が講師としてご登壇されます〉〈会費:2万円〉の案内メール

それは、甘利幹事長が広告塔を務めた「闇パーティ」も同じだ。2019年3月下旬には、ライズ・ジャパンが「志友会」会員に対して案内メールを送付。その添付文書には〈自民党選挙対策委員長 甘利明様が講師としてご登壇されます〉〈こちらの会、40名様限定の会となっております〉〈会費:2万円〉という文面とともに、こう書かれていた。

〈こちらの会は薗浦健太郎様主催の会ですので、会費のお振込みは薗浦健太郎事務所様へのお振込みとなりますのでご注意くださいますよう、お願いいたします。〉

つまり、ライズ・ジャパンはこのように会員に献金を呼びかけるという実質的な「あっせん」をおこない、献金集めに貢献してきたのだ。

今回、薗浦健太郎・元首相補佐官だけではなく、ライズ・ジャパンが政治資金規正法で規定された1社が年間に寄付できる資本金に応じた上限額を超えた献金をおこなっているとして同社の仲井社長も告発されているのだが、仲井社長は「志友会」会員に対して、過去にこう語っていたという(「FACTA」7月号)。

「安倍(晋三)さんが前の内閣で短命(06年9月から07年9月まで)に終わり、逼塞していた時、紹介で安倍さんと菅さんの事務所に出入りするようになり、私なりに支援。それで道が開けた」

安倍・菅政権で「有力政治家の集金マシーン」となって業績を伸ばしてきた同社。安倍元首相の同盟であり、さらには集客の広告塔となった甘利幹事長には、ライズ・ジャパンとの関係や「闇パーティ」に関与した経緯、講演料を受け取っていたのかなど、説明すべき問題が山ほどあるのは言うまでもない。くだんの「1200万円口利き問題」とともに、メディアは徹底して追及していくべきだろう。
(編集部)

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