被爆体験者 救済求め2万筆 県、長崎市に署名提出 県保険医協会

被爆体験者救済を求める署名の写し(手前)を提出した本田会長=長崎市役所

 長崎県保険医協会(本田孝也会長)は7日、国指定の被爆地域外で長崎原爆に遭い被爆者として認められていない「被爆体験者」の救済を求める署名2万191筆の写しを県と長崎市に提出した。9月末までの1カ月半で集め、目標の1万筆を大きく超えた。本田会長は岸田文雄首相に原本を届けるため、来週にも上京する予定。
 署名は、広島原爆による「黒い雨」訴訟で国の上告断念により原告全員が被爆者と認められたのを受け、同様に黒い雨や灰を浴びた長崎の被爆体験者にも被爆者健康手帳を交付するよう求めるため実施。上告を断念した菅義偉首相(当時)は談話で、原告と同じような事情にあった人の救済を検討するとした一方、被爆体験者の救済は明言していない。
 同協会は8月18日から、会員や平和団体などを通じて署名への協力を呼び掛け、県内約1万1千筆、県外約9千筆が集まった。
 本田会長は7日、長崎市役所で前田孝志原爆被爆対策部長に手渡し、「反響は非常に大きく、全国的に注目を集めている。広島だけでなく長崎でも救済に向かってほしい」と要望。前田部長は「多くの署名に込められた思いを重く受け止める」と応じ、救済を国に引き続き求めていく考えを示した。

© 株式会社長崎新聞社