キレる、眠る、えこひいきする こんな裁判官イヤだ!元アイドル平松まゆき弁護士が語る

皆さんは裁判官にどんなイメージをお持ちでしょうか。裁判官と言えば品行方正で頭の良い人達、何があっても動じない、笑わない、という印象を持たれている方も多いかもしれません。

最近、弁護士向けの雑誌にこんな特集がありました。題して「こんな裁判官はイヤだ!!」です。弁護士目線の不満がつづられていて大変興味深いものがありました。

例えば裁判記録(訴状や書面)をろくに読まないので会話がかみ合わなかったり、紛争解決への意欲がないのでダラダラ延びたりするなど訴訟指揮に問題がある裁判官。

あるいは引用する条文が間違っている、基本的な判例を知らない、民事訴訟手続の理解が不十分でその都度休廷して確認するなどの法的判断能力に問題のある裁判官。

そして、すぐキレる、法廷で眠っている、仲良しの弁護士をえこひいきする、など裁判官としての資質に問題がある裁判官などが挙げられていました。

こんなこと言われると裁判官に対する信頼が揺らぐかもしれませんが、もちろんそうした人ばかりではありません。ここに書かれていたことはあくまでも一例。特定の弁護士の特定の経験を語ったものです。

幸い、私の経験ではこれまで優秀な裁判官に恵まれていた印象で、ずば抜けた頭脳の方もいました。また、「この人優しいなあ」という裁判官もいました。私たち弁護士の立場はどうしても依頼者の方を向いていなければなりませんから、まれに依頼者に頼まれて法的に成り立たない感情だけの主張をせざるを得ない時もあります。そんなときも、むげに排斥するのではなく、「それはどういう意味ですか?」「法的な解釈としてはどうなりますか?」などと丁寧に聞いてくださり、心の中で「お互いに大変ですよね」と思ったりしました(きっとそのはず。)

そういえば、新型コロナウイルスが広がる前にはカラオケに一緒に行ったこともあったなあ。裁判官も適度に夜遊びするんですよ。

個人的には、きちんと軌道修正してくれさえすればすぐキレたり、寝てしまったり、えこひいきする裁判官も人間らしくていいなあと思います。実際、過去に一度だけ、とある裁判官から理由なくすんげーキレられたことがありますが、「人間だもの」の精神で、なんだか優しくなれた気がしましたしね(笑)。

◆平松まゆき 弁護士。大分県別府市出身。12歳のころ「東ハトオールレーズンプリンセスコンテスト」でグランプリを獲得し芸能界入り。17歳の時に「たかが恋よされど恋ね」で歌手デビュー。「世界ふしぎ発見!」のエンディング曲に。20歳で立教大学に入学。芸能活動をやめる。卒業後は一般企業に就職。名古屋大学法科大学院入学。15年司法試験合格。17年大分市で平松法律事務所開設。ハンセン病元患者家族国家賠償訴訟の原告弁護団の1人。

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