2021年9月の全国企業倒産505件

2021年9月の倒産

9月は50年間で最少を記録、「新型コロナ」関連倒産は月間最多の154件

 2021年9月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が505件(前年同月比10.6%減)、負債総額が908億6,000万円(同28.4%増)だった。
 件数は、4カ月連続で前年同月を下回った。9月としては1990年の531件を下回り、1972年以降の50年間で最少を記録した。
 負債総額は、2カ月連続で前年同月を上回り、今年4番目の規模となった。9月としては2016年(850億6,300万円)に次いで、50年間で5番目の低水準。負債100億円以上1件(前年同月1件)を含む同10億円以上の大型倒産は12件(同11件)、同5億円以上10億円未満は23件(同12件)と増加し、負債額を押し上げた。
 同1億円未満は370件(構成比73.2%)で、小・零細規模を主体とした推移が続いている。
 「新型コロナウイルス」関連倒産は、154件(前年同月比85.5%増)で、今年3月の151件を上回り、月間最多となった。なお、2021年1-9月累計は1,185件(前年同期509件)。

企業倒産月次推移
  • 「人手不足」関連倒産のうち、「後継者難」が31件(前年同月34件)
  • 形態別件数:破産が454件。法的倒産の構成比、16カ月連続で90%台
  • 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが11道県、減少26都府県、同数10県
  • 負債別件数:負債1億円未満の構成比が73.2%、100億円以上は4カ月ぶりに発生
  • 業種別件数:生活関連サービス業,娯楽業、道路貨物運送業などで増加
  • 従業員数別件数:10人未満の構成比が91.6%、300人以上は9カ月連続でゼロ
  • 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)は505件で、2カ月連続で100.0%

産業別 10産業のうち6産業で前年同月を下回る

 2021年9月の産業別は、10産業のうち、6産業で前年同月を下回った。
 最多はサービス業他の172件(前年同月比14.0%減)で、4カ月連続で減少した。コロナ禍の長期化で動向が注目される飲食業は52件(同27.7%減)、宿泊業は7件(同22.2%減)と減少したが、旅行業は2件(前年同月ゼロ)と増加した。
 そのほか、製造業51件(前年同月比20.3%減)は、17カ月連続で前年同月を下回った。また、小売業48件(同38.4%減)、不動産業18件(同14.2%減)、情報通信業20件(同20.0%減)は4カ月連続で、それぞれ減少した。
 小売業は今年最小で、2020年5月(48件)以来、16カ月ぶりに50件を下回った。
 一方、建設業は102件(同22.8%増)、運輸業は21件(同75.0%増)で、それぞれ4カ月ぶりに前年同月を上回った。
 卸売業は、前年同月と同件数の65件だった。

2021年9月の産業別倒産
産業別倒産月次推移

地区別 北海道と中部を除く7地区で前年同月の倒産件数を下回る

 2021年9月の地区別件数は、北海道、中部を除く7地区で前年同月を下回った。
 北海道は13件(前年同月比18.1%増)で6カ月ぶり、中部は74件(同1.3%増)で4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
 一方、中国18件(同10.0%減)は13カ月連続で、前年同月を下回った。また、東北16件(同15.7%減)は10カ月連続、関東184件(同18.2%減)、近畿140件(同4.1%減)、九州39件(同15.2%減)は4カ月連続、北陸9件(同18.1%減)は3カ月連続、四国12件(14.2%減)は2カ月ぶりに、それぞれ減少した。

2021年9月の都道府県別倒産

※地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

(株)デジポケ/東京都/仮想通貨預かりサービス/101億円/破産 アンフィニ(株)/大阪府/太陽光発電機器製造/86億8,700万円/民事再生法 (株)KH/高知県/パチンコ店経営/55億円/特別清算 朝日アルミ産業(株)/岡山県/アルミニウム精錬鋳造再生/54億円/破産 川越管財(株)/埼玉県/複合環境試験装置製造/52億円/特別清算

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