愛媛大学、ジョリーグッドと感染症診療のVR教材を開発 国立大学では初

愛媛大学と株式会社ジョリーグッドは、COVID-19感染症患者への診療や防護服の着脱などをVRで体験学習できる感染症診療教育VRを共同開発した。医師や看護師、医学科生、看護学科生ら向けに実際の感染症診療病棟での実習ができるVR教材の開発は、国立大学としては日本初の取り組み。2022年から、医学科生や看護学科生らを対象とした実習授業に活用する。

医学生や看護学生向けの感染症対策教育は、COVID-19の影響で感染症診療病棟内の診療現場に立ち入ることは難しく、全国的に実践実習ができていない状況が続いている。また、感染拡大時の支援体制には有事にも対応できる感染症病床以外の病棟の医師や看護師が欠かせないが、彼らに対する感染症に関する実践的な教育も十分に行き届いていない。

そうした課題を背景に、VRによるリアルな実習体験を通じて感染症診療病棟での診療経験を直感的に体験させ、人材育成を図っていくための強力な支援ツールとして教材が開発された。

感染症診療教育VRでは、愛媛大学の医療現場に搬送されたCOVID-19患者に対して実際に行った処置を撮影し、360度の術者目線でCOVID-19患者対処法を学ぶものや、感染管理の基本となる防護服の正しい着脱方法などCOVID-19診療病棟内での感染リスク回避の基礎知識を習得するコンテンツがある。

愛媛大学大学院医学系研究科の薬師神裕子教授は、「VRを用いた体験型教育は、目に見えにくい感染症を可視化し、実践レベルで感染症予防対策が具体的に学べる貴重な機会になると期待しています。看護師は、患者の日常生活を支えるケアを提供するために、最も近い場所で患者と接触することになります。VR教材を用いることで、どのような処置やケアの場面で感染リスクが高いのか、感染予防対策や医療チームのメンバーとして必要になる感染症のリスク管理に必要な意識を高める学びが可能になると考えます」と期待を寄せている。

なお、この取り組みは、文部科学省の令和2年度第三次補正予算事業「感染症医療人材養成事業」で採択された事業の一環であり、医学科と看護学科が共同で実施する教育プロジェクトとなっている。

参考:【株式会社ジョリーグッド】国立大学初!実際の新型コロナ患者への処置をVR教材化!ジョリーグッドと愛媛大学、感染症診療教育VRを共同開発

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