静岡市立芹沢銈介美術館 開館40周年 記念展 ~秋編~特別展「芹沢銈介の日本」開催

芹沢銈介が愛した、日本の四季・手仕事・風景などを主題にした 型染約150点を一挙に展示

2021年10月6日
静岡市

静岡市生まれの染色家・芹沢銈介(人間国宝)が寄贈した作品やコレクションなど、約5,800点を所蔵する静岡市立芹沢銈介美術館(静岡市駿河区登呂5-10-5)は、今年開館40周年を迎えました。これを記念して、2021年度は、芹沢銈介が愛した「春」「夏」「秋」「冬」になぞらえた4回の展覧会を開催しております。 つきましては、「秋」編として、10月9日(土)~12月12日(日)まで、芹沢の代表作150点を通 して、芹沢銈介が愛した日本に迫る展覧会「芹沢銈介の日本」を開催いたします。

「四季曼荼羅図二曲屏風」(1971年)柏市蔵「八雲村道文着物」(1955年)柏市蔵
本展の見どころ
1.静岡市立芹沢銈介美術館開館40周年記念展として開催
1981年に開館した静岡市立芹沢銈介美術館は今年、開館40周年を迎えました。これを記念して、 芹沢銈介が愛した「春」「夏」「秋」「冬」になぞらえた年4回の記念展覧会を開催しています。 本展はその中の「秋」編となります。

2. 芹沢が日本各地を旅する中で生まれた作品など、約150点を一堂に展示
日本各地を旅した芹沢は、その自然・手仕事・風景をスケッチし、自らの眼を通して日本の美し さを型染で表現しました。また一方、和紙に型染する手法で、カレンダー、クリスマスカード、年賀状などを工房で量産、まったく新しい日本の手仕事を開拓しました。 本展では、芹沢が日本各地を旅する中で生まれた作品を多数展示します。

3.芹沢が愛した日本工芸も展示
芹沢が日本各地で収集した日本工芸も展示します。収集品を常に身辺に置き、自身の作品のヒン トやモチーフにもなった日本各地の工芸品をお楽しみください。

「妙の字のれん」(1964年)柏市蔵 『新版 絵本どんきほうて』(1976)より「作男さんちょ従へ廻国の門出」
開催概要
タイトル:静岡市立芹沢銈介美術館開館40周年記念展-秋編-「芹沢銈介の日本」
会 期:2021年10月9日(土)~ 12月12日(日)
※休館日 毎週月曜日、11月4日(木)、11月24日(水)
開館時間:9:00~16:30
会 場:静岡市立芹沢銈介美術館(〒422-8033 静岡県静岡市駿河区登呂五丁目10-5)
アクセス:JR「静岡駅」南口より、しずてつジャストライン「登呂遺跡」行き乗車、 終点「登呂遺跡」にて下車、徒歩約4分。
観 覧 料 :一般420(370)円、高校生・大学生260円(200)円、小学生・中学生100(80)円
※( )内は30名以上の団体料金 ※未就学児、静岡市内在住の70歳以上の方・小中学生(通学含む)無料。
※障がい者手帳等の提示により、本人及び同伴者1名は無料。
問い合わせ:静岡市立芹沢銈介美術館 054-282-5522
WEBサイト:https://www.seribi.jp/
公式twitter:静岡市立芹沢銈介美術館(@seribi_shizuoka)

展示構成
〈日本の四季〉
芹沢銈介が最も好んだ作品の主題の一つに四季があります。四季それぞれにちなんだ作品はもちろん、4つの季節をとり込んだ作品、「春夏秋冬」の4文字をちらした作品などがあります。四季折々の自然の美しさ、四季に寄り添いながら続いてきた日本の暮らしを、型染で表現しています。

「苗代川春景」(1943年頃)静岡市立芹沢銈介美術館蔵「小模様散らし着物」(1938年)静岡市立芹沢銈介美術館蔵「布文字春夏秋冬二曲屏風」(1965年) 柏市蔵
〈日本各地の手仕事・風物〉
日本の手仕事や職人の世界をこよなく愛した芹沢銈介。地方独特の風土から生まれる素材や用途。職人の動きや手さばき。工房のたたずまいや、工夫され使い込まれた道具類。また手仕事の村々 の風景に至るまで、丹念に観察してスケッチし、作品のモチーフとしました。そこに、芹沢が愛した日本があります。

「機織図二曲屏風」(1935年) 日本民藝館蔵「日用具の図」(1965年) 柏市蔵「箕図二曲屏風」(1957年頃)静岡市立芹沢銈介美術館蔵
〈文字〉
文字は意味を表しますが、一方では長い歴史を経た模様でもあり、その背後には活き活きとした イメージが広がっています。書を得意とした芹沢は、漢字や平仮名など、文字を主題とした作品 を次々と制作し、文字の魅力を日本の暮らしに浸透させました。

「染分いろは文二曲屏風」 (1973年)柏市蔵板絵「妙好人因幡の源左」(1979年)より「ようこそ ようこそ」 静岡市立芹沢銈介美術館蔵
〈日本の収集品〉
芹沢は、様々な日本の工芸品を集めました。染織をはじめ、絵画、木工、陶磁器、漆器、玩具な ど、実に多彩なジャンルに及んでいます。収集品を常に身辺に置いて楽しんでいましたが、一方 では作品のヒントやモチーフにもなりました。晩年、「やっぱり私は、古い日本のものが好きだ し、そういうものから教わっておりますから、だからそれが仕事に現れて」と語っています。

「獅子頭」(東北地方)「木の葉猿」 (熊本県玉名郡木葉)
●静岡市立芹沢銈介美術館について
明るいのに静か。なつかしいのにモダン。 芹沢銈介に出会う場所。
静岡市立芹沢銈介美術館は、染色界の重鎮・芹沢銈介より、郷里の静岡市に作品とコレクションが寄贈されたのを機に、弥生時代の遺跡として有名な登呂公園の中に建設されました。1981年の開館以来様々な企画展示、作品の保存収集、調査研究を通して、芹沢の芸術を広く紹介し、その偉業を後世に伝えるべく活動を続けています。わが国では珍しい染色作家の美術館として、日本内外から多くの染色ファンを集めています。
また、建築家・白井晟一の設計による建物も訪れる人々の注目する所です。弥生時代の遺跡として名高い登呂公園の一隅に位置し、その遺跡の雰囲気に自然に融け込むように、石、木、水という天然素材を選んで構成されたこの建物は、白井晟一の個性が遺憾なく発揮された代表作です。石を積み上げた量感ある外壁。ゆるやかな銅板葺きの屋根。そして手斧の跡も温かい白木の楢材の組天井を持つ展示室が池を巡るように配されて、鑑賞の場にふさわしい、ゆったりとした空間を演出しています。美術館のキャッチコピーは “明るいのに静か。なつかしいのにモダン。芹沢銈介に出会う場所。”ぜひ心と体を癒してください。
附属施設として、芹沢の住居と工房があった東京・蒲田から移築した「芹沢銈介の家」があり、毎週日曜日、祝日に公開しています。

芹沢銈介美術館 外観芹沢銈介美術館 展示室
●静岡市生まれの染色家・芹沢 銈介(静岡市名誉市民)について
芹沢銈介は、1895年静岡市葵区本通に生まれました。
東京高等工業学校(現・東京工業大学)工業図案科卒業後、生涯の師である柳宗悦と、沖縄の染物・紅型(びんがた)に出会ったことを契機に、型染を中心とした染色の道を歩み始めます。
芹沢には色彩と模様に対する天与の才能があり、従来の染色の枠組みにとらわれない、新鮮で創意あふれる作品を次々と制作しました。芹沢は非常に多作で、また染色にとどまらない幅広い仕事をしましたが、生涯を通じて明快かつ温和な作風を貫いており、多くの人々に愛好されました。
その評価は国内にとどまらず、1976年にはフランス政府から招聘をうけてパリで大規模な個展を行い大成功をおさめました。1956年に重要無形文化財「型絵染」の保持者として人間国宝に認定、1967年に静岡市名誉市民に選ばれ、また1976年には文化功労者と なり、1984年4月、88歳で惜しまれつつ永眠しました。
色差しをする芹沢銈介 (1980年3月14日)